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バックナンバー 7月24日号  7月17日号  7月3日号  6月26日号

7月24日号

  もうひとつの「タントラム(かんしゃく)」リスク

記事内容


 長男のロシアゲート関与の浮上で、更なる支持率の低下に焦る米トランプ大統領は、今後“外に敵を作る”政策を前面に押し出してくる可能性がある。それは、北朝鮮に対する強硬姿勢や対米通商問題の再浮上だろう。この懸念は、トランプ政権が7月中旬に入り①日米首脳会談で、対日赤字に言及(7/8)、②中国とそれ以外の国(日本、欧州など)を対象にした鉄鋼の輸入制限(関税引上げと輸入割り当て)を同時に課す考えを表明(7/12)、③USTR(米通商代表部)が韓国に対し米韓FTA(自由貿易協定)の再交渉を通知(7/15)、④北朝鮮の資金源を絶つため、違法取引に関わった中国の企業と銀行に制裁を課す方針(7/15) ― 等のニュースが相次いでいることからも窺える。本稿の前号(No.190)では、2013年5月の“バーナンキショック”と呼ばれる「テーパー・タントラム(中央銀行の量的緩和政策変更に伴う市場のかんしゃく)」のリスクについて触れた。先送りされてきたこの対米通商問題も、夏から秋にかけての「トレード・タントラム(通商問題に伴う市場のかんしゃく)」のリスクとして、留意しておきたい。マーケットのボラティリティ(資産価格の変動の激しさ)を示す、VIX(恐怖指数)と日経ボラティリティ・インデックスが歴史的低水準(それぞれ、93年12月、05年7月以来)になったのも気になるところだ。

  


7月17日号

  夏休み後を考える(モラトリアムの)時期

記事内容


 米FRB(連邦準備制度理事会)は、4回の利上げに続いて「年内のバランス・シート正常化プログラム」を公表し、ECB(欧州中央銀行)も秋以降に量的緩和策の段階的縮小を表明する可能性が高い。この動きを受け、世界的に金利が上昇し始めている。こうした現象は、2013年5月22日、当時のFRB議長であったバーナンキ氏が“テーパリング(量的緩和の資産圧縮)”を示唆し、長期金利の急上昇で日米など世界の株式市場が短期的な調整(バーナンキ・ショック)を余儀なくされたことを思い出す。ただ当時との違いは、①長期金利が短期トレンドシフトの急騰ではなく、今回はリバウンドの範囲であること、②リスク回避のドル安・円高ではなく、日米の金利差拡大に伴うドル高・円安になっていることだ。このため③日米と新興国の株式市場は当時のような急落にはならず、比較的高値圏で落ち着いているといえる。しかし、これで中央銀行の政策変更に伴う株式市場の織り込みを終えたと判断するには、まだ時期尚早だろう。そのためには、8月24~26日の米ジャクソンホール会議(カンザスシティ連銀主催の経済フォーラム)におけるイエレンFRB議長の発言、9月7日のECB理事会、同19・20日のFOMC(連邦公開市場委員会)が次の重要イベントになろう。やはり、ここは無理をせず“夏休み後を考える(モラトリアムの)時期”なのかもしれない。

  


7月3日号

  「下げる夏に備えよ!」~もうすぐ夏休み?

記事内容


 NYに拠点を置くヘッジファンドのH氏とのテレビ会議(6/22)でのこと。氏曰く「最近の米国株式は気になるところがある。それは①テクノロジー株が短期的に膨張し、物色が偏りすぎていること、②原油価格の下落等で期待インフレ率が低下し、米長期金利は利上げしても上がらないこと、③米国の経済指標で、ISM非製造業景況指数など先行性の高いものが弱くなってきたこと ― などが背景だ。こうしたなか為替相場は、夏場に105円/ドル割れがあるだろう。米国株は、下がるか、上がらないかのどちらかだ。下げる夏に備えよ!だ」と、先月までとトーンが大きく変わっていた。私の質問も「同感だ。6月9日のナスダックの急落は背景が良くわからないだけに気持ちが悪い。これまで相場をリードしてきたアップルの株価が今も戻らない。これは変調の兆しではないか?」。これに対し「下げの背景は私もわからない。今市場を動かしているAI(人工知能)が何らかの察知をしたのではないか」という。経験則からみて、理由のハッキリしない相場変動には注意が必要だ。今週から7月相場入りとなるが、そろそろシートベルトをシッカリ締めて臨みたい。但し、AI・IoT(モノのインターネット)関連セクターの今夏の下げは、年内最後の買い場になる可能性があることも十分頭に入れておきたい。もうすぐ夏休み?

  


6月26日号

  「任天堂(7974)」は年末Xmasの商戦への備えも十分 !?

記事内容


 予約(6/16発売)していたニンテンドー・スイッチの新作ソフト「ARMS」を、4人の孫と一緒に楽しんだ。任天堂のコンセプトは、VR(仮想現実)のように独りの世界ではなく、ファミリーで楽しめる娯楽の提供という点で一貫している。驚いたのは、一番下の子(1歳半)がコントローラーの奪い合いに参加している光景であった。何がそこまで子供達の心を捉えるのか、さすが「ニンテンドー!!」。我が家でもスマホの時代はゲームから一時遠ざかっていたが、こうした現象は「Wii」(06/11発売)以来のことだ。弊社アナリストは、任天堂(7974)の投資判断をOutperformで目標株価を従来の3.5万円から5.6万円に引き上げた(6/13)。これは、スイッチ・ハード(ソフト)の販売(17/3発売)台数が、17/3期274万台(3500万本)⇒18/3期1400万台(6000万本)、19/3期2100万台(1.2億本)、20/3期2300万台(1.4億本)とウナギ上りになることが背景だという。この販売ペースはまさに「Wii以来の快挙」(発売13ヵ月の累計販売台数:Wiiが2013万台、スイッチが1674万台予想)ともいえる。ちなみに当時の株価は、2万7700円(06/11末)が7万3200円(07/11高値)までの大相場になった。次ぎのソフトの販売は、「スプラトゥーン2」(7/21)、「ポッ拳」(9/22)、「FIFA18」(9/29)、「スーパーマリオ・オデッセイ」(10/27)と相次ぐ。これだと早めのXmasプレゼントを求められそうだ。ブルッ!?

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)