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バックナンバー 3月27日号  3月20日号  3月13日号  3月6日号

3月27日号

  気になる、安倍内閣の支持率の低下リスク

記事内容


 昨年末からの日本株市場は、トランプ米新政権の政策の行方、為替動向など、海外の要因に左右される展開が続いた。しかし、ここ米国株が堅調な割に日本株の値動きの重さが目立つようになってきた。この背景のひとつの要因は、やはり今TVやマスコミを騒がせている「森友学園の問題」があるとみられる。その渦中の人、籠池氏に対して3月23日に衆参両院の予算委員会で証人喚問が行われるという。その結果は、現執筆時点では不明だが、これで一件落着とはなるまい。むしろ、近く発表される「安倍内閣の支持率」の発表が懸念される。混乱が続く世界の中で、日本の政局の安定は特筆すべき好材料であった。それが支持率低下で不安定化するということは、「アベノミクス」に対する信認が低下することにも繋がる。4月からは日米経済対話でトランプ政権との通商交渉が始まる。5月9日の韓国の大統領選挙は、対日政策で厳しい指導者が勝利すると地政学的にも大きな不安要素になる。さらに、7月には東京都議会選挙があるが、こちらも自民党は小池都知事(新党)との戦いで厳しいものが予想される。これまで“順風満帆”にきた安倍政権だけに、少し気になる毎日だ。「明日あると思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは(親鸞)」

  


3月20日号

  「桜の散る頃」……?

記事内容


 3月の3大ビッグイベントであった、①オランダの総選挙(3/15)、②米FOMC(連邦公開市場委員会)での金融政策(3/14・15)、③トランプ政権の(暫定)予算教書(3/16) ― が終わった(執筆時点で結果は不明)。続く4~5月からは、①「日米経済対話」の開始(4月から)、②米財務省による「為替報告書」の発表(4月中旬)、③仏の「大統領選挙」の投票(4/23、5/7)、④米・メキシコの「NAFTA(北米自由貿易協定)」再交渉(5~6月?)、⑤「米中戦略対話」(5~7月?)と、ビッグイベントが続く。昨年11月にトランプ氏が大統領に選出された後、様々な批判や懸念をよそに、NYダウは2万1100ドルに乗せ(3/1高値2万1169ドル)、日経平均も年初来高値を更新(3/2高値1万9668円)している。それぞれ不安の壁をゆっくりよじ登る様は、まさに“驚異の粘り腰”という他はない。しかし、今年の日本株は派手な宴があった訳でもなく、多くの投資家が“冷めた花見”を迎えようとしているように見受けられる。ちなみに今年の桜の開花予想(東京)は、3月25日。市場(メディアではない)とのハネムーンの100日間(米大統領就任後の見守り期間)も、4月29日で終わる。となれば、「桜の散る頃」にはそろそろ次のことに思いを馳せなければいけない時が近づくのかもしれない。 「散る桜 残る桜も 散る桜」 -良寛和尚-

  


3月13日号

  意外な“粘り腰”をみせる株式市場

記事内容


 トランプ大統領は、財政赤字を減らしつつ、軍隊増強や公共インフラ投資、移民法執行の強化、減税といった政策の連邦予算案をまとめるには、「膨大な量の作業をこなさなければならない」と発言(2/22)した。そして先の両院議会演説(2/28)では、「インフラ投資」の1兆ドル以外の具体的な案件の数字を示さなかった。ちなみにインフラ投資については、官民協力の「インフラ銀行の創設」等により、財政中立型で実施することが固まったので公表できたとされる。そして3月中には、「オバマケアの見直し(医療保険制度改革案)」を公表するとしている。注目の「税制改革案」についてムニューシン財務長官は、「8月4日からの議会休会までに通過を目指す」としており、議会との調整にはまだ時間がかかるとみられる。ということは、リスク要因とされる「国境税」の導入の有無も先延ばしになったといえる。となれば、「セル・ザ・ファクト(事実で売る)」という相場格言からすると、今回の議会演説で全ての材料が出尽くした訳ではないということになる。逆に好材料の先延ばしは、期待感が続くということでもある。「日米経済対話」のスタート(4月)、「フランス大統領選挙」(4/23、5/7)頃まで、株式市場は今後一時的なフレがあったとしても、“意外な粘り腰”をみせるのかもしれない。

  


3月6日号

  春以降は、トランプ政権の対中戦略が焦点に浮上するか?

記事内容


 米トランプ大統領の補佐官で国家通商会議(National Trade Council)議長に就任した、カリフォルニア大のピーター・ナヴァロ教授の話題の本「米中もし戦わば」を読んだ。同氏は、この他「中国が(世界を)破滅に向かわせる(Death By China)」などの著者でもあり、対中強硬派の権化のような人だ。本の内容は思ったほど難解なものではなく、何故中国が軍事的脅威になるかをわかりやすく検証している。すなわち歴史上の観点からみると、それまでの超大国(米国)と台頭する新興国(中国)が世界の覇権をかけた争いで対峙する構図は避けられないというものだ。この他、米通商代表のライトハイザー氏(対中強硬派)などホワイトハウスの布陣をみると、トランプ政権の対中国政策は、強腰で出てくる可能性が高まったといえる。しかしトランプ大統領は、昨年12月の台湾蔡英文総統との電話会談で「一つの中国を見直す」としていたが、2月の習近平国家主席との電話会談では「一つの中国の原則は尊重している」と、スタンスが変わったようにも見える。今後のスケジュールをみると、4月中旬に発表予定の財務省による「為替報告書」(中国を為替操作国として認定するか)、6~7月の「米中戦略対話」が、米国の対中戦略の攻防を図る大きなイベントになろう。

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)