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バックナンバー 5月22日号  5月15日号  5月8日号  4月24日号

5月22日号

  6月は『成長戦略』が話題の季節だが…

記事内容


 6月は、毎年政府が「成長戦略」を発表する時期となる。今年の目玉は、①高速道路での自動運転を2022年に商業化、②人工知能(AI)やビッグデータ等を活用した生産性の向上、③医療や介護へのIT(情報技術)の利用、④深刻化する人手不足問題への対応、⑤金融とITを融合したフィンテックなど新規事業育成に向けた規制の一時凍結(来年度から試行を開始) ― などのようだ。安倍首相は、「極めて新しく面白い提案がある。新しい経済成長のエンジンを仕込んでいけるような研究をしていこう」と述べ、成長戦略を後押しする考えを表明(5/10)している。ちなみに、昨年は「第4次産業革命に向けて」の副題で、600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10が紹介されていた。今年は、「ソサエティー5.0(第五社会を技術革新で)」がキーワードという。米国市場では、アップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、エヌビディア(NVDA)、など次世代イノベーション関連株へのラリーが続いている。一方、日本市場では全体として出遅れ感が否めない。昨年のこの時期は、世界を揺るがした“Brexit(英国の国民投票でEU離脱選択)”という、まさかの出来事(6/23)が起き、政府の成長戦略が隅に追いやられてしまった。今年は注目度が高くなることに期待したいが、新たに「憲法改正論議」が浮上したことは気掛かりだ。

  


5月15日号

  GINZA SIX(ギンザ シックス)に学ぶ?

記事内容


 5月のGW(ゴールデン ウィーク)の最終日、東京・銀座に開業(4/20)した大型商業施設「GINZA SIX」に行ってみた。今も大変な賑わいぶりで、来館者数は開業初日が約9万人、年間だと2000万人を目標としているという。特に気に入ったのが「Where Luxury Begins」(世界が次ぎに望むものを)という、施設のスローガンだ。「成熟社会を迎えた今の日本において、ラグジュアリーとは、単に高価で高級なものではなく、人生を豊に充実させてくれる、最高に価値あるモノや体験が何かを探す」というもの。元デパートの松坂屋の跡地がこうも変身するのかと、ただ驚いた。この「GINZA SIX」と比べるのは、少々(?)気が引けるが、弊社の日次レポート「モーニングニュース」もリニューアルして約1ヵ月が経過した。旧来の日本株に海外の情報を盛り込むことで、よりグローバルな付加価値を高める内容になったと自負している。先に行った同レポートのアンケート結果も、好評だった。「ここにしかない特別な場(情報)と仕掛け(アイデア)を創発し、新たな価値をプレゼンテーションする」といったコンセプトは、我々の目指すところでもある。15年目を迎え再出発した「モーニングニュース」は、ユーザーファーストの原点を忘れず、常に研ぎ澄まされた感覚で市場と向き合う、投資情報レポートでありたいと思う。

  


5月8日号

  米トランプ政権のハネムーン終了後のマーケットを考える

記事内容


 「働き方改革」(?)で“隗より始めよ”ではないが、週末に北海道を旅行してきた。初日は、十勝・帯広でなんと今の時期に雪が降った。今年は異常気象だというが、それにしても驚いた。ところが、翌日の朝は一転快晴。宿泊がサミットの行われた洞爺湖のホテルだったので、眼下に雲海が広がり独り興奮してシャッターを切った。悪いことばかりではない、時が経てば良いこともあるという教訓か。マーケットも、米トランプ大統領の政策実現性への期待が後退し、3月中旬から“逆トランプラリー”(トランプノミクスで買われた銘柄の売り)を余儀なくされた。では、“ハネムーン期間”(大統領就任後100日目は4月29日)が終わった今後のシナリオはどう見たらいいのか。それは、(1)米国の減税の一部具体化でリバウンドへ向かうが、新しいトレンドを形成するまでには至らない(ボックスシナリオ)、(2)当面はテクニカル的な自律反発に留まり、夏場に底入れ。秋以降には政策の具体化で反発(年末高シナリオ)、(3)“トランプラリー”が終了しており、年内は戻り売りが続く(低迷シナリオ)、の3つのパターンが考えられる。「セル・ザ・ファクト(事実で売る)」の相場格言からすると、(1)か(2)がメインシナリオか。となれば5月相場は、基本まだ逆張りのスタンスで「押し目買い」を継続したい。

  


4月24日号

  “逆 トランプラリー”は、「出口のあるトンネル」?

記事内容


 某テレビ局の朝の番組で、ミステリー作家の湊かなえ女史の対談をみた(4/15)。そこで、目を引いたのが、一つの言葉から浮かぶ彼女の想像力の逞しさだった。即興で書いた文章で感心したのは、「出口の見えないトンネル」と「出口のあるトンネル」での、その立場に置かれた人の心の奥の描写であった。出口が見えない場合は、「希望」がなく、出口がある場合はその先に「光」をみつけ、それが心の支えとなるというものだった。翻って、今の株式市場も「トンネル」に入った状態だ。それは「短い」のか「長い」のか、また「出口がない」のかで、投資家の心理は大きく変わる。オバマケア(医療制度改革法)代替案の取り下げなど、減税やインフラ投資など政策の先送りが“逆トランプ(政策失望)ラリー”の主因だとしたら、「時間」が解決してくれるのではないか。むしろ、一度に政策が出揃うと景気が過熱して金融政策の出口が早まる(バランスシート調整)ことの方が、先々にとってのリスクだったかもしれない。足下のシリアや北朝鮮など地政学的リスク、仏の大統領選挙の行方、米国の通商交渉の概要が明らかになれば、4-6月か7-9月にはトンネルの出口が見つかるのではないか。“トランプラリーが終わった”と結論づけるのはまだ早いように思う。

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)