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バックナンバー 1月16日号  1月9日号  12月26日号  12月19日号

1月16日号

  1月20日から、いよいよ「トランプ劇場」の幕が開く !!

記事内容


 ワシントン・ポスト取材の「トランプ」という本を読んだ。トランプ次期大統領の人となりを、彼の歩んだ歴史を通じ、客観的に知る上で興味深い内容であった。そこにはゴシップと同時に、マンハッタンの寂れたホテルを超一流のハイアットホテルに甦らせ、経営不振の5番街の高級デパートをトランプタワーに変身させて、大富豪になってゆく様が描かれている。「俺はいつか有名になるよ」、「今ここにいる目的はただひとつ、勝つためだ」の言葉も印象的だ。トランプ氏は「タフで抜け目のない交渉人」であると同時に、そのエピソードは「アメリカンドリーム」の復活を連想させる。もちろん、トランプ新政権が軍人と金融出身者と大富豪経営者で固められており、白人・ブルーカラーといった支持者の反発を言う人もいる。しかし、有名な米エコノミストによると「彼がそんな奴だということは皆わかっており、許してしまうのではないか」との指摘もある。1月20日の米トランプ新政権発足でいよいよ本格的な「トランプ劇場の幕が開く」ことになる。筆者は、外交面でのリスクは感じるも、何より人々の「アニマルスピリット」を覚醒させる効果に期待している。2017年は大規模な米大統領主導による徹底したイデオロギーの転換に備える必要がありそうだ。

  


1月9日号

  2017年の漢字は「望」?

記事内容


 その年を一字で表現する、2016年の漢字は「金」(日本漢字能力検定)であった。しかし、マーケット関係者の1人としては、とても「金」ではなく、「驚(き)」の方がぴったりくる。16年1月29日の日銀のマイナス金利発表、6月23日の英国の国民投票(Brexit)、11月8日の米大統領選挙(トランプ勝利) ― などがそうだ。このため、もうひとつの漢字は「外(れ)」の方がふさわしいかもしれない。では、今思い浮かぶ2017年の漢字は一体何だろうか。それを筆者なりに想像して見ると、「望」だ。トランプ米次期大統領の登場(トランプノミクス)によって、世界経済はひょっとすると「長期停滞」(低インフレ、低金利、低賃金)を脱するのではないかという、「希望」が出てきたからだ。もちろんそこには逆の「失望」ということも含まれる。2017年は「何か変わるかもしれない」という期待がどう変わるか、「トランプノミクス」の具体化と効果にかかるといっても過言はなかろう。そういった意味で、1月20日の大統領就任、2月の一般教書と予算教書、4月の為替報告書が、その先の「展望」を見極めるスケジュールとなろう。中でも、最初に打ち出される(?)「本国投資法(レパトリ政策)と大型減税」の規模と中身は、その試金石となろう。最後は、株高「願望」のアイ、ホープだ。 Get Ready for Nikkei 21000 !!

  


12月26日号

  「トランプノミクス」と「アベノミクス」の違う点と似ている点

記事内容


 米トランプ次期大統領の経済政策である「トランプノミクス」という言葉が定着してきた。○○ミクスという言葉は、1981年の米レーガン政権の経済政策「レーガノミクス」、2012年末からの安倍政権の経済政策「アベノミクス」がある。これらは、いずれも経済政策が行き詰まった時に登場し、マーケットに大きなパラダイムシフト(認識や価値観などが劇的に変化すること)をもたらした。当初は政策の実現性が乏しいため、経済学者などから疑念の声が上がったのも共通点だ。「レーガノミクス」は以前本稿でも取り上げたので、今回は「アベノミクス」と比較してみた。アベノミクスの三本の矢は、①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略であった。これに対し「トランプノミクス」は、①インフラ投資と減税の積極財政、②金融・エネルギーなど規制緩和、③米国第一主義だ。このため違いが多いのも事実。しかし、似ている共通点は何か変わるかもしれないという、先行きに対するマインドの変化かもしれない。奇妙なことに今回の日本株は、アベノミクスの第1次上昇相場と極めて良く似ている。当時も期待先行だと言われながら、約半年間にわたり上昇相場が続いたのは、今回参考になるかもしれない。来たる2017年は、前半勝負で臨みたい。

  


12月19日号

  トランプ時代は、「ビジネスプロモーション政権?」

記事内容


 米トランプ次期政権の顔ぶれが出揃ってきた。そのメンバーは、大統領首席補佐官に、共和党議会と強いパイプをもつプリーバス氏、過激発言で懸念されたバノン氏(元ゴールドマンサックス)は首席戦略官におさまった。財務長官はタフネゴシエーターのムニューチン氏(元ゴールドマンサックス)、国防長官には狂犬の異名をとるマティス氏(元中央軍司令官)、司法長官は不法移民排斥を掲げるセッションズ氏(上院議員)が決まっている。日本との関係では商務長官に日米交流団体の会長のロス氏(著名投資家)、国家安全保障担当には日米関係を重視するフリン氏(元国防総省)など知日派が並んだ。まだ、決まっていないが国務長官はティラーソン氏(エクソンCEO)が有力という。大統領政策フォーラムには、シュワルツマン氏(ブラックストーン会長)、ウエルチ氏(元GE会長)が参加、ビジネスラウンドテーブルの委員長はダイモン氏(JPM会長)、そして米国家経済会議の委員長にコーン氏(ゴールドマンサックス社長)と、世界的な超有名人がずらり。議会も共和党が両院を制し政策の実行力は高い。となれば、トランプ時代はビジネスフレンドリーというよりビジネスプロモーション政権といえる。マーケットでは、第1次の期待相場が終わっても、まだ2次があり、バッドトランプ相場はその先か?

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)