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バックナンバー 8月22日号  8月15日号  8月8日号  8月1日号

8月22日号

  政府と日銀の政策協調(ポリシーミックス)と株式市場

記事内容


 夏の五輪後のビッグ・イベントは、9月下旬から始まる臨時国会での補正予算審議、9月20・21日の日銀金融政策決定会合となる。特に、「総括的な検証を行う」とされる日銀の会合は、次の一手が従来の枠組み内の緩和か、全く新しい枠組みの追加緩和になるか否かで見方が分かれている。筆者は、総括的な検証の言葉の意味合いを重く受け止めており、日銀の金融政策の枠組みの転換に繋がる可能性がある内容になるのではないかと、密かに期待している1人だ。例えば、①物価目標の看板(2年で2%)を下ろす、②マイナス金利を打ち止めにする、③国債の買い取り(年80兆円)を修正する、④フォワード・ガイダンス(先行きの見通し)を強化する、⑤新たな目標(賃金?)を設ける ― などが推測される。この他、政府が増発を検討している超長期の40年国債(ゼロクーポン?)や財投債を日銀が市場を通じて買入れれば、市場がこれを“擬似ヘリコプターマネー”として連想することも想定される。7月28・29日の会合後には、10年国債の利回りが一気に底入れし、金融株や不動産株が反転・出直りの動きがみえ始めた。9月下旬に政府と日銀の政策協調(ポリシーミックス)がアピールされると、デフレ回避(インフレ期待)の新たな御旗になるのではないか?

  


8月15日号

  夏季オリンピック(五輪)と株式市場

記事内容


 ブラジルで開催の「リオ・オリンピック(五輪)」が終盤(8/5~21)に入ってきた。過去の五輪開催時期とその後の株価をみると、アノマリー(経験則)があるのに気がついた。つまり、五輪開催期間中の株価の騰落が、その後の株価の方向性を示唆しているように見受けられるからだ。例えば、1984年の米・ロサンゼルス、1988年の韓・ソウル、1992年のスペイン・バルセロナ、2012年の英・ロンドンの各大会時は、五輪開催期間中の株価(開会日前日~閉会日前日の日経平均の騰落)がプラスで、1ヵ月後の株価もプラスになっている。逆に、1996年の米・アトランタ、2000年の豪・シドニー、2008年の中・北京の時は、開催期間中の株価がマイナスで、1ヵ月後の株価もマイナスになっている。特にその端的な事例が、①2008年の北京大会後のケースで、1ヵ月後に“リーマン・ショック”(08年9月)が発生、また②2012年の英ロンドンのケースで、3ヵ月後に“アベノミクス相場”(12年11月)が始まったケースだ。もちろん、株式市場は、金融・経済情勢が大きく左右することは言うまでも無い。夏季五輪の年は米大統領選挙(11月)とも重なる。しかしデータをみると、五輪開催の閑散期での動きは、少ないプロ投資家の先行きの投資スタンスが凝縮されているといえなくも無い。2016年は、果たして…?

  


8月8日号

  GPIFの15年度運用実績公表とこれからのESG投資について

記事内容


 7月29日に、公的年金を運用(資産は15年度3月末時点で134.7兆円)する年金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2015年度の運用実績が5兆3098億円の損失になったと発表した。GPIFは安倍政権の下で運用資産の見直しを進め、14年10月に国内外の株式を2倍に増やす運用改革を決めた。15年度3月末時点の運用資産に占める株式比率は、国内株が21.75%(基本ポートフォリオ25%に達する買い余力は約4兆円強)、外国株式が22.09%(同4兆円弱)であった。同時に、GPIFが保有している株式の銘柄を公表したが、これは14年度末(15年3月)のものである。このため、その後の変化を検証するには、11月25日に発表される15年度末(16年3月)の情報開示を待つしかない。今後の注目点は、GPIFが環境や企業統治を重視した企業を選別して資金を流す、「ESG(Environment Social Governance)投資」に乗り出すことだ。GPIFは早ければ年度内にも投資を始めるとしており、欧米で活発なESG投資が日本でも本格普及期に入るキッカケになろう。ESG投資を促した国連の責任投資原則(PRI)に署名する世界の年金基金の数は、16年4月末で1500に達し、総運用資産が60兆ドル(6300兆円)という。日本中に一大旋風を巻き起こした「ポケモンGO」ならぬ、「ESG投資にGO!」となるか?

  


8月1日号

  夏の夜の夢?

記事内容


 2016年後半の日本株の見通しは、3つのシナリオを想定。まず、①楽観:米国の利上げが先送り(年内0~1回)。欧州のBrexit(EU離脱)不安は後退。中国経済は底入れし人民元が安定。日本は予想を上回る財政出動(10兆円以上)と日銀の期待以上の追加緩和(貸出支援制度の導入やETF増額)。円相場は円高トレンドが終了し、115円/ドル近くの円安に。衆院解散・総選挙が年末・年始に浮上 ― のケース。 年末に日経平均は1万9000円。擬似ヘリコプターマネーが実現すれば2万円の声も。②標準:米国経済は堅調で、12月に利上げ(年1回)を想定。Brexitの混乱は収まるも、イタリアなど金融不安定は継続。中国の景気失速懸念が和らぎ、緩やかな元安へ。予想通りの財政出動(5~10兆円)とそれなりの日銀の追加緩和。円相場は過度な円高進行が止まり105~110円/ドルのレンジ。衆院解散・総選挙は来年後半か再来年に ― のケース。同日経平均は1万8000円。③悲観:米国の利上げが前倒し(秋と年末に2回)、欧州の金融リスクが再発。中国経済が減速し人民元安が進行。予想を下回る財政出動(3兆円以下)と日銀の追加緩和の見送り ― のケース。同日経平均は1万5500円。短期的に調整があるも、①か②のシナリオになってゆく。これは夏の夜の夢?

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)