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バックナンバー 11月24日号 11月10日号  11月3日号  10月27日号 

11月24日号

  にわかに決まった解散・総選挙と株式市場

記事内容


 安倍首相は、「消費増税の先送り(17年4月に)と解散・総選挙(12月14日投票)」を正式に表明した。この決定は、①財政再建計画の後退、②成長戦略の遅れ、③円安加速の懸念 ―等から、アベノミクスに対する疑念や日銀と政府の政策協調に対する不安感をもたらす可能性がある。しかし、「消費増税先送り」の決定を米国が後押しし、日銀が政府の動きを察知して追加緩和を発表(10/31)したとしたら、今後の風景やシナリオが違って見えるかもしれない。米国のノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は安倍首相と会談(11/6)した際、「消費増税を先送りする」よう進言したとされる。さらにルー米財務長官は、麻生財務相との会談(11/15)で「消費税の再増税には、短期的な悪影響を相殺する十分な対応が必要だ」と指摘し、再増税の先送りを求めたとも受け取れる発言をしている。日銀の追加緩和も、消費増税の先送り発表の後では今回のような大規模緩和はできなかっただろう。逆に、市場の信認に疑惑が生じた際の「株安・債券安対策(=買い取り枠の拡大)」が出来ていることになる。さらに、選挙で自民党が勝利すれば、①消費増税先送りの信認を得たことで、安倍首相の求心力が高まり、②成長戦略を通じた経済優先の軸を鮮明化する、アベノミクス第Ⅱ章に繋がるシナリオが再浮上しよう。

   


11月10日号

  役者が揃った(?)「消費増税実施の判断」

記事内容


 10月31日に、景気討論会(日経、日本経済研究センター主催)を聞きにいった。そこでの焦点はやはり消費増税実施についての考え方であった。特に注目されたのは、消費税点検会合(11月4日~18日に5回)の有識者のメンバーでもある、三菱総合研究所の武田洋子女史(チーフエコノミスト)の発言であった。「消費増税は、①増税が景気に影響を及ぼすコストと、②増税先送りのコスト(財政への影響)を比較した場合、後者の方が大きい。増税を先送りすればする程、財政への取り組みが遅れる。危機が起きてしまった時、リスクが大きく振れてしまうことは、これまでの金融危機から学んだ。日本の金融政策は、財政健全化を進めることを前提としている。長い目でみた場合、財政や社会保障を考えると、自ずと答えは出てくるはずだ」。筆者は、ここに、12月上旬の安倍首相の判断の答えは出ていると考える。10月31日に、①日銀がサプライズ緩和(量的・質的金融緩和第2弾)を発表、②GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が新しい運用比率を発表、③安倍首相が、経済対策(11月半ば)の本格検討を指示した ― 等、環境整備の外堀は完全に埋まり、役者が揃ったといえる。「小泉改革相場の第Ⅱ章」(05年夏スタート)は、外国人から国内投資家に主役が変わった。「アベノミクス相場の第Ⅱ章」も、同様のことが起きそうな気がする。

   


11月3日号

  「ガンバレ」名古屋のモノづくり !!

記事内容


 10月24日に「TECH Biz EXPO」(ポートメッセなごや)を見に行った。ここでは、次世代モノづくり基盤技術展が開催され、ロボットや3Dプリンター、燃料電池車 ― など次世代の技術・商品が目玉となっていた。そこで、筆者の目を引いたのがロボット。介護見守りロボット、歩行支援機、介後支援ロボット、果樹園無人走行技術等がそうだ。特に、歩行支援機などは片足で18万円と、実用化がすぐにでもできそうな製品もあった。しかし、一方で今話題の燃料電池車は、ただ会場に直接置いてあるだけという、極めてシンプルな展示であった。10月10日に、東京・幕張メッセの「シーテック・ジャパン」(家電見本市)で派手な燃料電池車のデモンストレーションを見てきただけに、正直その落差(メーカーの力の入れ具合)に驚いた。全体的な印象としては、決して盛り上がっているようには見えなかったし、もう少し展示会の運営方法に工夫があっても良いように思えた。しかし、良かったことは名古屋の地元の大学(5校)が、ロボット研究室などで自分達の手作りロボットを紹介していたことだ。こうした技術を活かす仕組みづくりが、アベノミクスのいう「地方創生」なのだろう。そのためには、国や地方自治体、企業、大学の産官学の連携が必要なことはいうまでもない。名古屋は、日本を代表するモノづくりの中心的立場にある。「ガンバレ」名古屋のモノづくり!!

    


10月27日号

  今年も、“ハロウインの季節”は「押し目買い」 !!

記事内容


 ハロウインの季節がやってきた。ハロウインは毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源といわれる祭りのこと。秋の収穫を祝い、悪霊等を追い払う意味合いがある。株式市場においても、秋はハロウインの季節(妖怪が登場して波乱?)を迎えるのが恒例の行事となっている。今年のマーケットのハロウインの主役(妖怪)は、①欧州を中心とした世界的な景気後退懸念、②10月末の米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(QE・量的緩和縮小)終了、③欧米でのエボラ出血熱患者の発生 ― などであった。この他、ミューチュアルファンドが10月末、ヘッジファンドが11月末に決算を迎えることも、毎年の需給的要素に影響しているようだ。しかし、この時期の波乱はそう長くないのも特徴の一つ。今回も、①は世界最終需要地の米国経済が回復基調を続けている。②は10月のリスク回避で、米利上げの時期の見通しが15年央から16年以降に先送りとなった。③は、まだ不明だが、過度に不安視することも無かろう。日本では、①先送りされていたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率の見直しが10月下旬に発表となる、②足元の景気後退と物価目標未達懸念から、日銀の出番(年内に日本版QE2?)がやってきた、③株価の急落で日経平均の予想PERが14倍割れ(10/17)になった。なら、今年もハロウインの季節は「押し目買い」でゆこう。

    


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)