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バックナンバー 4月20日号  4月13日号  4月6日号  3月30日号

4月20日号

  年央からの原油価格(WTI)の反発に備える?

記事内容


 昨年央から急落した原油価格(WTI)は、底入れから反発に向かう可能性が出てきた。これは、今回の原油価格低下を放置し、価格よりもシェアを優先してきたサウジアラビアの戦略に変化が出てくるかもしれないからだ。そのキーマンであるヌアイミ石油鉱物資源相は、昨年(11/27)のOPEC(石油輸出国機構)総会での減産見送りを主導し、その後も「減産する意志はない」と発言(12/10)していた。それが、今年の直近(4/7)で「サウジは他の産油国と共に、市場の安定及び価格改善を支援する用意がある」との認識を示していた。ということは、6月のOPEC総会で減産について話合われる可能性が出てきたといえる。こうしたなか、米エネルギー情報局(EIA)は、2015~2016年の米国内の原油生産見通しを引き下げた(4/7)。ニューヨークの投機筋のネットポジションは、昨年のピーク45.89万枚(6/24)から25.20万枚(4/7)へと半減(ボトムは3/24の20.6万枚)した水準にある。米国の石油(シェールオイル・ガス用)掘削リグの稼動数も、昨年10月の1609基から直近(4/3)で802基まで、こちらも大幅に減少している。これらの事象からすると、何かキッカケがあれば原油価格が反発しやすい状況にあることがわかる。まずは、原油安で売られたセクターと銘柄にリバウンドのチャンスか。

   


4月13日号

  始まった、日本企業の「サイレント・レボリューション(静かなる革命)」

記事内容


 「スチュワードシップとコーポレートガバナンス」(北川哲雄著)という本を読んだ。編集者がアナリスト出身ということもあって、指摘事項が市場に密着していて参考になった。例えば、①コーポレートガバナンスでアナリストの果たす役割、②スチュワードシップ・コードで機関投資家が果たす役割(高質な対話)、そして③取締役会の果たす役割-など、コーポレートガバナンス有識者会議の「伊藤レポート(一橋大伊藤教授)」を基にした、これからのあるべき姿の提言は、参考になった。特に第8章、③の取締役会改革については究極のコーポレートガバナンスだとして、特筆される内容であった。これに関連したニュースでは、大手メガバンクが6月に委員会設置会社に移行し、人事など重要な経営判断で社外取締役の意見を強く反映させると言う発表(2/26)等が、まさにこのことを指している。さらに、相次ぐ「社長の抜擢(9人抜き、32人抜きなど)」が出始めたのも、従来の日本型人事に地殻変動が起きようとしているからだろう。これらの動きは、「サラリーマンのサラリーマンによるサラリーマンのための会社」が終わりを迎え、“企業の稼ぐ力”に目覚めた、肉食系企業が再び出てくる兆しといえる。まさに、日本企業の「サイレント・レボリューション(静かなる革命)」は、始まったばかりだ。

   


4月6日号

  米利上げの先送りと「円安無しの日本株高」は、共存へ!

記事内容


 FRB(米連邦準備制度理事会)は、3月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文に、新たに「(米国の)輸出の伸びが弱まっている」の文言を加えていた。さらに、その後の記者会見で、イエレンFRB議長は、「(輸出鈍化は)ドル高がその一因である」との認識を示していた。こうしたFRBの懸念の言動から推察すると、FRBの利上げ開始は当初想定された6月から先送りされ、9月にメインシナリオがシフトしたことを裏付けているように見受けられる。ちなみに、4月中旬から米国企業の1-3月期決算発表が始まる。ここでのS&P500の予想1株当り利益の伸びは、前年同期比▲5.8%予想と、原油安のエネルギー関連とドル高に伴うグローバル企業が収益の足を引っ張るとみられる。そして、当面はドル高懸念が続き、FRBの利上げ開始先送りのなか、円安トレンド復帰も先送りされたとみられる。こうした中での日本株についていえば、日経平均が2万円に近づいた原動力は、①春のベア交渉に伴う賃金の引上げと、②主要企業によるコーポレート・ガバナンス(企業統治)強化の本気度アップであった、といえる。となれば、従来の円安=株高ではなく、米利上げ先送りに伴う「円安無しの日本株高」はまだ続くとみてよかろう。次の押し上げ材料は、4月下旬からの決算発表となろう。

   


3月30日号

  米利上げの時期で変わる、日経平均の上値メド

記事内容


 3月17・18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文では、昨年12月に採用した「忍耐強くなれる」の文言が削除された。このことは、利上げへの道を開いたものとして注目された。しかし、①FOMCメンバーの15年12月のFFレート予想値(中央値)が、昨年12月時点の1.125%が、今回(3月)0.625%と大きく切り下がったこと、②イエレンFRB議長がFOMC後の記者会見で、「(忍耐強くなれるの)文言削減は、直接利上げに繋がらない。合理的な確信を得た上で、利上げに踏み切る。」とコメントしたことで、マーケット関係者のセンチメント(心理)は大きく変化した。例えば、米プライマリーディーラー(米公認政府証券ディーラー)調査で、3月6日の雇用統計発表時点では「16社中9社が利上げ開始を6月」としていたが、18日のFOMC後は「16社中12社が9月以降に利上げ開始」となった。このことは、日経平均の上値メドを探る上でも重要な変化となろう。すなわち、これまでのメインシナリオは①6月米利上げのケースで、日経平均は春から年央に2万円、年末2万1000円の想定だったが、②9月米利上げのケースだと、これを年央から夏に2万1000円、年末2万2000円想定に上方シフトする必要が出てきたといえる。ただ、当面は好業績な出遅れ株にシフトする段階に入ったように思う。

   


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)