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バックナンバー 2月16日号  2月9日号  2月2日号  1月19日号

2月16日号

  日本版グレート・ローテーション(債券から株式へ)の始まり?

記事内容


 2月初旬の相場は、債券市場の利回りが急反発し、株式市場での波乱材料とされている。しかし、そのことがネガティブな要因だろうか。過去に債券利回りが急上昇した、1998年9月(ボトム0.665%)と2003年6月(同0.435%)のケースをみると、債券利回りの底入れ⇒反発は株式市場にとっても、大きなトレンド転換確認の明確なシグナルとなっているのがわかる。今回は2013年4月からの日銀の量的緩和(QE)実施で、債券市場の底入れが2015年1月(同0.20%)に遅れたものの、株式市場は既に2012年11月から上昇トレンド入りしている。この間、「債券市場が正しいのか、株式市場が正しいのか」の論争もあったが、これでようやく決着が着いたように思う。すなわち、日本経済はデフレへの再突入ではなく、デフレからの脱却に向けて明確な歩みを始めたことを再確認したということだろう。このことは、景気の転換点に起きる“債券から株式へのシフト(=日本版グレート・ローテーション)”が本格的に始まることに他ならない。もちろん日銀の追加緩和(国債の購入)があるので、債券利回りがここから一本調子で上昇することはないだろう。しかし、債券バブルは徐々に終焉へ向かい、設備投資や株式などリスク資産にマネーが回帰を始めることは間違いなさそうだ。ここは迷わず「株式」の押し目買い継続でゆきたい。

   


2月9日号

  2015年前半のマーケットのキーワードは、「2極化」?

記事内容


 「21世紀の資本」の著者である、トマ・ピケティ教授が来日し、メディアで一大ブームとなっている。その理論が「 r>g (資本収益率 r は経済成長率 g を上回る)」であることは、広く知られている。一言でいうと「資本主義での格差は拡大する」というものだが、本稿はその内容(是非)を議論する場ではないので省略する。ピケティ氏の前置きを述べたのは、2015年の市場で氏の説とは時間軸と内容が違う“格差(=2極化)”が起きていることを、指摘したかったからだ。すなわち、①原油価格の急落がもたらした資源国と消費国の格差、②金融政策で出口に向かう国と緩和を続ける国(通貨高と通貨安)の格差、③リスクテイクをして挑戦する国とそうでない国(政策や人を含む)の格差 ― 等がそうだ。このなかで、石油消費の国、金融緩和継続(=通貨安)の国、強い指導者を要する国(黒田日銀総裁と安倍首相・ドラギECB総裁とメルケル独首相・印のラジャン総裁とモディ首相)という3つの好条件が揃うのは、日独印の3国だ。ちなみに1月30日現在の株価は、日銀の追加緩和後(14年10月末)を100とすると、独DAXが114.6、日経平均が107.6、印SENSEXが104.7と、米NYダウの98.7、ブラジル・ボベスパの85.8を凌駕し始めている。2015年前半の投資戦略は、「2極化」の流れの中での選別が重要になろう。

   


2月2日号

  TPP交渉は大筋合意となれば、サプライズに !!

記事内容


 2015年前半のマーケットのサプライズ材料は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の大筋合意になるかもしれない。その理由は、米国のオバマ大統領が、任期あと実質1年を残し、内政・外交両面でのレガシー(遺産)を残したいと考え始めていることだ。オバマ大統領は、既に1月の一般教書で、交渉を政権に一任する(TPP交渉妥結に欠かせない)「大統領貿易推進権限(TPA)法案」について、米議会での超党派による早期成立(2月末?)を要請している。このため今後のスケジュールをみると、1月25日からの主席交渉官会合(車安全基準の要求撤回?)、2月の日米閣僚級会合での農産物協議(豚肉、牛肉関税で合意?)、3月の12ヵ国閣僚会合(全体交渉で合意?)、4月から5月の連休での安倍首相の訪米での大筋合意(日米首脳会談で発表?)の可能性が、見え始めているように思う。TPP交渉妥結は、日本再興戦略(14年6月)における「戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進」(貿易自由化のFTA比率を現在の19%から2018年までに70%に高めることを目標)という、成長戦略の大きな目玉だ。4月の統一地方選挙(12・26日)が終わると、本丸の「農協」を含め、地方創生のための農業改革(特区での規制緩和など)が本格化しよう。となれば、アベノミクス第Ⅱ章の成長戦略の突破口は、ほぼ諦めていたTPP交渉の妥結ということか。




1月19日号

  「低原油価格時代」が再来 ~早晩、ポジティブ面を評価へ

記事内容


 今回の原油価格急落は、リーマン・ショック後(08年~09年)のように需要が急減したのではなく、金融市場の需給整理(投機筋の投げ)が大きな原因だったことがわかってきた。さらに、OPEC総会で減産見送りが決定(11/27)され、サウジアラビアの長期的な国家戦略の転換(シェールオイル潰し)が見えてきたことも、今後の原油価格を見通す上で重要なポイントだ。1986年10月の原油価格急落時も、サウジアラビアの長期的な石油戦略の転換(増産)がその後の低原油時代を決定付けたといわれている。となれば、世界経済は、当時のような“逆オイルショック”(低原油価格時代)が再度到来する可能性が出てきたということかもしれない。このため、マーケットは最初ネガティブな反応(資源国通貨安、エネルギー関連企業の株安)をしてきたが、今後は時間の経過と共にポジティブに反応しよう。こうした低原油価格時代は、石油消費国を中心にエネルギーコストの大幅低減となり、大きなメリットが生じることになる。さらに、原油安は物価の下落につながり、金融緩和が長期化する要因にもなるだろう。こうした原油安メリットを受ける業種は、電力、電炉、ゴム、道路(アスファルト)、海運、空運、陸運、化学、自動車 ― 等がそうだ。東ソー(4042)、セ硝子(4044)などに注目。




    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)