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バックナンバー 4月21日号 4月14日号 4月7日号 3月24日号 

4月21日号

  ゆっくりだが、着実に回り始めた「成長戦略」のドリル

記事内容


 先週号に続き「アベノミクスの成長戦略は、本当に期待外れか」の続編。まず、一つは「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革」。GPIFは、運用対象の拡大、アクティビストへの運用委託、JPX日経400のベンチマーク採用など、大幅な運用の見直しを発表(4/4)した。基本ポートフォリオの見直し(株式の構成比アップ)も、6月以降に発表となろう。二つ目は、「農業改革」。政府は、70年ぶりに農業協同組合(農協)法の抜本改正に乗り出した。JA全中(全国農業協同組合中央会)の指導権廃止などで、各農協が地域の実情に合った活動が可能となるという。2015年の通常国会で「農協法の改正」を目指すようだ。これで、いよいよ農業改革の本丸に踏み込んでゆくことになる。三つ目は、「2大企業統治(コーポレート・ガバナンス)改革」。今通常国会で、経営への監督機能強化策(社外取締役の導入の努力義務など)を盛り込んだ「会社法改正案」が成立の見込み。また、「日本版スチュワードシップ・コード」(機関投資家が投資先企業と企業価値向上について話し合いを持つように促す規範)は、厚労省の専門委員会がGPIFに導入を求めている。まだまだ、「成長戦略」のドリルは、ゆっくりだが着実に回っている。決して諦める必要はない !!

    


4月14日号

  ゆっくりだが、着実に回り始めた「成長戦略」のドリル

記事内容


 先週号「アベノミクスの成長戦略は、本当に期待外れか」の続編。まず、①「雇用」面の規制緩和での新しい動き。政府(関係閣僚会議)は、人手不足の建設業で「外国人労働者の受け入れを拡大する緊急措置」を決めた(4月4日)。技能実習制度を拡充(2020年までの時限措置)し、受け入れ期間を従来の3年から最長5年間にし、再入国の場合更に3年間働くことも認めた。2015年度初頭からの実施は、人手不足の建設業界にとってポジティブな材料となろう。ちなみに、この外国人労働者の活用では、農業や介護、家事への受け入拡大も検討しているという。もう一つは、②難航が続いている「TPP(環太平洋経済連携協定)」の交渉進展だ。4月24・25日にオバマ米大統領が来日し、24日に日米首脳会談が開かれる。現在は、日米間の協議でまだ双方の主張に開きがある。このため、今回のオバマ大統領の来日で大筋合意に至るには難しいとみられるが、交渉加速に向けた動きが出てきたことは評価できよう。EU(欧州連合)と豪州とのEPA(経済連携協定)も一歩前進した交渉に入ってきた。特に、日豪EPA交渉は大筋で合意に達し(4月7日)、TPP交渉を後押しすることになろう。この他、6月の新成長戦略のとりまとめに向けたドリルの回転は、今後も休みなく続こう。

    


4月7日号

  アベノミクスの成長戦略は、本当に期待外れか?

記事内容


 「アベノミクスの成長戦略は期待外れだ」との声がある。果たして本当にそうだろうか。もともと、金融政策、財政政策に比べ、第三の矢である成長戦略は、その効果が出るには時間がかかるもの。安倍政権は、昨年6月に「日本再興戦略」を策定し、今年6月には岩盤規制の「雇用」、「農業」、「医療」を柱とした、成長戦略第2弾をまとめる予定だ。菅官房長官の「これまでの成長戦略は、策定がゴールだった。アベノミクスは策定がスタートだ。」という言葉からも、改革の意思が弱まったとは思えない。既に、目玉の一つの「経済特区」は、対象6地域が3月28日に発表された。もうひとつの目玉である「法人税率引き下げ」も、6月にまとまる「骨太の方針」に明記される可能性がある。さらに、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の見直し」は、厚生労働省の財政検証の最終案(6月頃)を基に、ポートフォリオを修正することになろう。注目の「雇用」の面では、2015年度から外国人向けの技能実習制度の拡充(=外国人労働者の受け入れ拡大)の方針が固まった。この他、春の賃上げ交渉も順調に進んでいる。もちろん、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉のように、やや遅れているものもある。だからといって、成長戦略が後退したとはいえない。ネバー、ネバー、ギブアップ !!

    


3月24日号

  FRB、ECBの「市場との対話」に学ぶ

記事内容


 世界の中央銀行の総裁の発言は、市場に大きな影響を与える。米FRB(米連邦準備理事会)のイエレン新議長は、議会の公聴会(2月11日)で「米労働市場の回復は、完全と呼べる状態から程遠い」と発言し、緩和縮小への不安を和らげた。ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、「追加緩和の手段を用意している」と発言(3月13日)し、“フォワード・ガイダンス(将来の金融政策の運営方針)”の効果をうまく使っている。これに対し、黒田日銀総裁は「増税後も景気は緩やかに回復する」(1月22日)、さらに、「(追加緩和について)現時点では、必要があるとは思わない」と発言(3月11日)し、市場の追加緩和期待を後退させてしまった。年初からは新興国の通貨下落、ウクライナ問題の勃発、中国のデフォルト(債務不履行)リスク ― と、様々な外部要因からの悪材料が相次いだ。しかし、年初からの株価下落率(3月14日)を見ると、米国のNYダウが▲3.0%、中国の上海総合が▲5.2%なのに対し、日経平均は▲12.0%と突出している。これを見る限り、何処に下げの主因があったかわかるというもの。その黒田日銀総裁は、参院財政金融委員会(3月17日)で「見通しに変化が生じ、必要となれば適切な調整をする」と、ハト派的なレトリックを使い始めた。日本株市場は、これで一安心 !(?)

    


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)