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バックナンバー 9月1日号 8月18日号  8月11日号  8月4日号 

9月1日号

  日本のエレクトロニクス産業復活のシナリオは?

記事内容


 日本のエレクトロニクス産業の没落が言われて久しい。しかし、本当にそうだろうか?今逆に、復活にむけたシナリオが見えてきつつあるのではなかろうか。それは、業界の枠を越えた分野でのネットワークやシステムのIT(情報通信)化ではないだろうか。例えば、自動車では電装化による安全技術の高度化(自動車のIT化)、都市のネットワーク化(都市のIT化)、農業での生産効率化(農業のIT化)-などがそうだ。この中でも特に期待されるのは、世界最高の技術と生産規模を誇る自動車のIT化(スマートカー)だろう。ITの巨人である米国のアップルやグーグルと協力してこの分野を強化していけば、自動車のスマホ化(本体の車両と部品は日本メーカーが供給)が可能だろう。日本のエレクトロニクス業界は、カラーTV(~1960年代)、VTR(~1980年代)、インターネット・パソコン(~2000年代)と、常に新たな潮流(トレンド)をリードしてきた。ここ10年の雌伏の原因のひとつとなった円高も終息してきた。負け組となった半導体や携帯電話など、負の遺産の処理(構造改革)も終わったところが多い。しかし株式市場においては、東証1部における電機の時価総額の比率が、2000年3月の19.8%から直近(8/15)で11.8%まで低下したままの水準にある。となれば、日本のエレクトロニクス産業株の“ターンオーバー”(攻守逆転)の時は近い?

    


8月18日号

  次のテーマは、地方創生とイノベーションで「農業のIT化」

記事内容


 秋から年末にかけては、①「地方創生」(8月4日のNo.65参照)と、②「イノベーション」(8月11日のNo.66同)が、2大テーマになろう。この両方を兼ね備えているのは、「農業のIT(情報技術)化」だろう。政府は、秋の臨時国会か2015年の通常国会で「農協法(農業協同組合法)の改正」を目指している。これは、農地の大規模化や専業農家を支援することが目的となる。このことは、TPP(環太平洋経済連携協定)が、今後合意に向った場合にも必要なことだろう。安倍首相は「農業は、地域にとって大きな資源だ」(7月23日群馬の農場訪問先)として、日本の農業が成長産業として育ってゆくことを支援すると、明言している。その場合参考になるのが、安倍首相も訪問(5月12日)したオランダだろう。オランダは、日本の9分の1の国土しかないが、米国に続き世界第2位の農産物輸出国(日本の約27倍)となっている。これを可能にしているのが、農業のIT化だといわれている。すなわち、データセンターから送られる、温度や水分量などの生育データを栽培計画に活用し、「植物工場」で効率的に農産物を栽培するシステム等がそうだ。農業生産法人等で農地の集約化を図り、生産性を向上、農産物は一手間かけた付加価値を増す ― などができれば、日本の“強い農業”の再生となろう。農業関連株は、中長期の「押し目買い」で臨みたい。

   


8月11日号

  次のテーマは、「ジャパン・テクノ・イノベーション」

記事内容


 今夏以降の日本株のテーマは、①ローカル・アベノミクスと、②ジャパン・テクノ・イノベーションとなろう。①は、「地方創生」として先週(No.65号参照)紹介したので、今回は、②の日本企業の技術革新についてコメントした。日本企業の復活には、やはり日本の得意とする“モノづくり”が原点になろう。そしてそこに、新たな付加価値を創造するイノベーション(技術革新)が加わることが必要となろう。その典型的な例が「ロボット」(No.61号参照)であり、「先進(安全・自動、双方向通信)運転システム搭載車」、いわゆる“クルマのスマホ(IT)化”の分野だろう。「自動車産業は、今100年一度の転換点にある」とは、米GMの幹部の言葉(14年1月の国際家電見本市)が象徴している。米国のIT(情報通信)の巨人でアップルやグーグルが本気で進出し始めていることからも、その潜在的市場の大きさが窺える。同分野は、地図データなどビッグデータを基盤とした双方向通信が可能であり、新たな都市交通ビジネスへと発展する、言うなれば3次元の空間という新しい市場創造の可能性をも秘めているといえる。このため、今後自動車搭載のエレクトロニクス化(現在40%)は、更にアップが予想される。となれば、環境技術で世界に誇る日本の自動車と電機・電子部品メーカーの融合は、日本企業再生の大きな切り札として残されているように思う。

    


8月4日号

  次のテーマは、「ローカル・アベノミクス(地方創生)」

記事内容


 安倍内閣の支持率(7月25~27日・日経)は48%と、政権発足来初の50%割れとなった。安倍政権は、10月26日の福島県知事選挙、11月16日の沖縄県知事選挙、来年春の統一地方選挙を控え、この支持率回復が急務になったといえる。そのテコ入れとしては、①9月上旬の大幅な内閣改造、②同じ時期の北朝鮮拉致被害者の調査報告、③日経平均株価の高値(1万6320円)奪回 ― などが重要な役割を持とう。安倍首相は、願い事が叶うとされるメキシコのテオティワカン遺跡のピラミッドを登った際、「脱デフレと地方再生」を祈願したという。このことからも窺えるように、帰国後の安倍首相は「地方再生」を新たな目玉政策として打ち出してこよう。政府は、省庁を横断的に取りまとめる「まち・ひと・しごと創生本部」(安倍首相がトップ)の準備室を発足(7月25日)させ、9月の内閣改造では地方創生担当相を新設する。まず、8月末の概算要求で地方創生枠 1兆円を計上、10月の臨時国会では地方創生関連法案が提出され、来年1月には「地方創生の長期ビジョンと総合戦略」が発表されるという。関西、沖縄など国家戦略特区でのカジノの具体化(秋の臨時国会で関連法案が成立?)を含め、次のテーマは「ローカル・アベノミクス(地方創生)」で決まりだろう。同テーマの関連としては、地方銀行などローカル銘柄に注目したい。

    


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)