アナリストのご紹介

アナリストのご紹介

アナリストのご紹介

バックナンバー 5月25日号  5月11日号  4月27日号  4月20日号

5月25日号

  「PBR1.5バズーカは健在なり」(パートⅡ)

記事内容


 先週(5/18号)の投資の視点「PBR1.5バズーカは健在なり」※のパートⅡとして、以下に具体的な個別銘柄を紹介した。現在(5/15)の東証1部の平均PBRは1.43倍(5/15)と世界的にみても低い水準だが、同1倍割れがなんと803銘柄、全体の42.8%もあるということは、驚きでもある。例えば平均PBR以下(5/18)の主な個別銘柄をみると、化学では三菱ケミHD(4188)が1.1倍、宇部興(4208)が0.8倍、富士フイルム(4901)が1.0倍、鉄鋼で新日鉄住(5401)が0.9倍、JFEHD(5411)が0.8倍、大特鋼(5471)が0.9倍、非鉄で東邦鉛(5707)が0.9倍、住友鉱(5713)が0.9倍、造船で三井造(7003)が0.7倍、日立造(7004)が1.0倍、商社で三井物(8031)が0.7倍、銀行・生保で三菱UFJ(8306)が0.8倍、三井住友(8316)が0.8倍、みずほ(8411)が0.7倍、りそなHD(8308)が0.9倍、第一生命(8750)が0.7倍、情報通信でNTT(9432)が1.0倍、電力で中部電(9502)が0.8倍、関西電(9503)が1.1倍、海運で郵船(9101)が0.7倍、商船三井(9104)が0.6倍 ― と、そうそうたる企業がここに並んでいる。足下の市場では、決算発表がヤマを越え、早晩にグロース(PER)の拡大期待は一巡する。となれば当面は、上記のような割安・出遅れ修正の期待できるバリュー(PBR)投資を中長期の戦略として考えてみたい。

※投資の視点「PBR1.5バズーカは健在なり」は5月18日発行の東海東京ウィークリーで紹介

   


5月11日号

  日経平均2万円乗せ後のリスクを考える

記事内容


 日経平均2万円台乗せを機に、「今後予想されるリスク」について考えてみた。まず(1)は、先送りされた米利上げの前倒しリスク。この判断は、4月と5月の米雇用統計が重要なカギになろう。(2)ドル高シナリオに変化が生じるリスク。米国当局がドル高への不満(4月の為替報告書)を示し始めたことが、足元の変化だ。(3)原油価格が上昇に転じるリスク。サウジアラビアなどの要人から、6月のOPEC(石油輸出国機構)総会を前に減産を示唆する発言がみられる。(4)ギリシャがデフォルトを回避できないリスク。5月12日のIMFへの支払い(7.5億ユーロ)を含め、6月25・26日のEU首脳会議まで混乱が続く。(5)中国株がバブルに突入するリスク。創業版IPO(新規公開)銘柄は、ここ個人投資家の爆買いによる過熱がみられ、新たな規制が出てもおかしくない。(6)アベノミクスが一時後退するリスク。5月央から安全保障関連法案の審議が始まり、経済優先が一時後退する可能性がある。(7)相場格言の「セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)」のリスク。ヘッジファンドの決算月(6月)など、季節的に売りが出やすい時期となる。もちろん、これらのリスクが全て現実化する訳ではないし、これまでの大局観が変わる訳でもない。しかし5月相場は、そろそろこうしたリスクも考えて相場に臨みたい。

   


4月27日号

  セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)」の季節が到来

記事内容


 ゴールデンウィークの到来と共に、本格的な「5月相場」が始まる。こうしたなか、相場格言の「セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)」は、広く知られているところであり、意識し始めるのもこの頃だ。海外では、①欧州はギリシャの債務問題(6月が融資の延長期限)の再浮上、②中国は景気テコ入れの追加緩和(預金準備率引き下げ)と、株式市場過熱防止の空売り規制の緩和が並走(4/20・17)、③米国は、エネルギー分野が足を引っ張った1-3月期の決算発表がピークを過ぎてくる。そして、日米は、大詰めを迎えてきたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉(4/28に日米首脳会談)の行方から目が離せなくなった。さらに、原油価格も6月のOPEC総会を前に、反発に転じてきた。国内では、①「賃上げ」(ベース・アップ)交渉が終わり、②6月の株主総会を前にした「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」強化のニュースフローも一巡してくる。あとは、3月期企業の決算発表が4月末から始まるが、企業の慎重な見通しの姿勢は変わりそうにない。サプライズは、日銀の追加緩和(4/30の金融政策決定会合)への言及だが、可能性はそう高くない。となれば、ここは大局観で「押し目買い」をする時期となろう。期間限定だが、当面は、コマツなど資源関連株や商社、金融、通信などの出遅れ株が、相対浮上か。

   


4月20日号

  年央からの原油価格(WTI)の反発に備える?

記事内容


 昨年央から急落した原油価格(WTI)は、底入れから反発に向かう可能性が出てきた。これは、今回の原油価格低下を放置し、価格よりもシェアを優先してきたサウジアラビアの戦略に変化が出てくるかもしれないからだ。そのキーマンであるヌアイミ石油鉱物資源相は、昨年(11/27)のOPEC(石油輸出国機構)総会での減産見送りを主導し、その後も「減産する意志はない」と発言(12/10)していた。それが、今年の直近(4/7)で「サウジは他の産油国と共に、市場の安定及び価格改善を支援する用意がある」との認識を示していた。ということは、6月のOPEC総会で減産について話合われる可能性が出てきたといえる。こうしたなか、米エネルギー情報局(EIA)は、2015~2016年の米国内の原油生産見通しを引き下げた(4/7)。ニューヨークの投機筋のネットポジションは、昨年のピーク45.89万枚(6/24)から25.20万枚(4/7)へと半減(ボトムは3/24の20.6万枚)した水準にある。米国の石油(シェールオイル・ガス用)掘削リグの稼動数も、昨年10月の1609基から直近(4/3)で802基まで、こちらも大幅に減少している。これらの事象からすると、何かキッカケがあれば原油価格が反発しやすい状況にあることがわかる。まずは、原油安で売られたセクターと銘柄にリバウンドのチャンスか。

   


4月13日号

  始まった、日本企業の「サイレント・レボリューション(静かなる革命)」

記事内容


 「スチュワードシップとコーポレートガバナンス」(北川哲雄著)という本を読んだ。編集者がアナリスト出身ということもあって、指摘事項が市場に密着していて参考になった。例えば、①コーポレートガバナンスでアナリストの果たす役割、②スチュワードシップ・コードで機関投資家が果たす役割(高質な対話)、そして③取締役会の果たす役割-など、コーポレートガバナンス有識者会議の「伊藤レポート(一橋大伊藤教授)」を基にした、これからのあるべき姿の提言は、参考になった。特に第8章、③の取締役会改革については究極のコーポレートガバナンスだとして、特筆される内容であった。これに関連したニュースでは、大手メガバンクが6月に委員会設置会社に移行し、人事など重要な経営判断で社外取締役の意見を強く反映させると言う発表(2/26)等が、まさにこのことを指している。さらに、相次ぐ「社長の抜擢(9人抜き、32人抜きなど)」が出始めたのも、従来の日本型人事に地殻変動が起きようとしているからだろう。これらの動きは、「サラリーマンのサラリーマンによるサラリーマンのための会社」が終わりを迎え、“企業の稼ぐ力”に目覚めた、肉食系企業が再び出てくる兆しといえる。まさに、日本企業の「サイレント・レボリューション(静かなる革命)」は、始まったばかりだ。

   


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)