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バックナンバー 7月25日号  7月18日号  7月11日号  7月4日号

7月25日号

  何が起きるか分からない(?) 「米大統領選挙」(11/8)

記事内容


 米国では、共和党大会(7月18~21日)と民主党大会(7月25~28日)が終わると、大統領選挙(11/8)がこの夏から本選モードに入ってくる。こうしたなか、某有名大学・政治学教授の講演(7/14)を聞いた。その中での注目点は、①同一政党の3連勝(3期)は容易ではない、②米国民は既成の政党や政治家に対して不信感を高めている、③米国民の多くは悪い方向に向かっていると思っている― というデータ分析であった。つまりこのことから言えることは、現在の世論調査では民主党のクリントン候補がやや有利だが、共和党のトランプ候補の芽が消えた訳ではないというもの。仮にトランプ候補が大統領になった時のリスクとしては、①日米同盟など安全保障のリスク、②TPP(環太平洋経済連携協定)の破棄など保護主義のリスク、③ホワイトハウスと議会の対立など政治的混乱のリスク、④大型減税やインフラ投資増による財政赤字拡大のリスク、⑤監査法案などFRB(米連邦準備制度理事会)への介入リスク、等があるという。クリントン候補の場合は、議会とのねじれが継続し、決められないリスクがあるようだ。同教授が最後に「これまで、ほとんどの専門家の読みが外れている。今回は普通(合理的判断)の選挙ではない。」という言葉が、強く印象に残った。

  


7月18日号

  注目される8月4日のトヨタの決算発表

記事内容


 7月下旬から、2016年4-6月期の決算発表が始まる。日銀短観(6月調査)による16年度大企業の経常利益は前年同期比▲7.3%と、3月調査の同▲2.0%から下方修正された。しかもその想定為替レートは、111.41円/ドルと実勢レート(102円/ドル前後)に比べてかなりの甘い設定になっていた。このため、今回の企業ガイダンス(見通し)はかなり厳しい内容になることが想定される。その代表はやはり、8月4日の発表予定の自動車大手のトヨタ(7203)だ。同社が前回5月11日に発表した際の16年度見通しは、為替前提を115円/ドルから105円/ドルに引き下げ、4割減益(営業利益)見通しで公表した。今回は、会社側がその前提をさらに95円/ドル~100円/ドル前提で見直してくる可能性もあるという。トヨタ株はこれまで日本株の先行指標的存在でもあった。その株価は2014年4月の5205円を下回り、直近(6/28)で4917円の安値をつけている。ということは、日経平均の14年4月時の安値が1万3885円であったことからすると、今回もその水準まで日経平均が近づいておかしくないとの見方も出来る。しかし、こうした下方修正のダメ押しの局面は、往々にして相場の転換点になる可能性がある。そうした意味で今回のトヨタの決算発表は、アク抜けのキッカケになるのかもしれない。

  


7月11日号

  Brexit(英国のEU離脱)ショックは、一体何だったのか?

記事内容


 7月4日号のバロンズ誌は、「落ち着け、Brexitは間違った警告を発している可能性がある。英国のEU離脱は永遠に実行に移されないかもしれない」との見解の記事が紹介されている。これを裏付けるかのように、VIX(恐怖)指数は一時(6/24)25.76まで上昇したが、今では14.77(7/1)と平常な水準まで低下している。株価も、英FT100は国民投票(6/23)前の水準を大幅に上回り、米NYダウもほぼ同水準までリカバリーしてきた。Brexitショックの前と後で大きく居所を変えたままなのが、米長期金利と為替と日本株だ。米FRB(連邦準備制度理事会)による年内の利上げ期待が消滅した米10年債は、1.747%(6/23)から1.439%(6/27)に急低下、現在(7/1)も1.445%で推移している。この結果、円・ドル相場は105.73円/ドル(6/23)から一時99.02円/ドル(6/24)まで円高になったあと、現在(7/4)も102円/ドル台で推移している。こうした中の日経平均は1万6238円(6/23)から1万4952円(6/24)まで下落し、現在(7/4)も1万5775円と、戻りが鈍い。ということは、今回のBrexitショックで、米国市場は欧州の不透明感で相対浮上し、日本市場は最も負のダメージを受けた格好になる。当面これを修復するのは、やはり7月28・29日の日銀金融政策決定会合での追加緩和しかない!?

  


7月4日号

  Brexit(英国のEU離脱)ショックがもたらす、日本の変化

記事内容


 世界を揺るがしたBrexit(英国のEU離脱)ショック(6/24)は、日本の政策対応がこれまで以上のものになる期待が持てるようになったといえる。すなわち、①政府はBrexitショックが起きたことにより、今秋に打ち出す予定の経済対策が当初5~10兆円だったものを、10兆円以上の規模に膨らませる可能性が出てきた。②麻生財務相は、Brexitショックに対し「いろんな形でやると思う」(6/24)と述べている。このことは、円へのマネー逃避が急激過ぎ、景気物価の下押し圧力が強まれば、単独介入を視野に入れていることを示唆しているものと推測される。さらに、③ここ静観している日銀は、Brexitショックを呼び水に、7月28・29日の金融政策決定会合で「追加緩和」を実施する可能性が以前にも増して高まってきたといえる。さらに安倍首相は、7月10日の参院選挙で与党が勝利すれば、年末から年始に衆院の解散・総選挙に踏み切る可能性も出てくる。現在の日経平均株価は、Brexitショックで必要以上に下振れしてしまっており、バリュエーション面(PERやPBR)からみて、いつ妥当な水準までの修復があってもおかしくないといえる。短期的ではあるが、最近のようなボラティリティの高いボックス相場では、大きく下がった局面こそがチャンス(逆張りの好機)になる?

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)