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バックナンバー 2月20日号  2月13日号  2月6日号  1月30日号

2月20日号

  「ネバーアップ、ネバーイン」の気持ちでトライ?

記事内容


 トランプ米大統領は、「2~3週間のうちに、税制について驚くような発表をするつもりだ」(2/9)と、経済政策の柱となる大型減税の具体化の時期を明らかにした。既にその中身としては、①連邦法人税を35%から15%に引き下げる、②個人の所得税を7段階から3段階に減らし、最高税率を39.6%から33%に引き下げる、③相続税を廃止する ― などの考えを示している。ただ、税制改正案は共和党も独自案を出しており、財源としての「国境税」(輸入品への課税)についての議論が残る。またトランプ大統領は、メキシコとの国境沿いの壁(工費は最大216億ドル=約2.4兆円)や高速鉄道の建設のインフラ投資にも言及(2/9)。このため、先送り観測が強まっていた経済政策の行方は、再びマーケットの強い支えになってきた。今後は、2月中の「予算教書」、同28日の「上下両院合同会議のトランプ大統領の演説(一般教書に相当)」、3月半ばの「大統領経済報告」、そして4月の議会との予算審議と、注目スケジュールが続く。日米首脳会談での安倍首相のゴルフ(2/11)の際の言葉ではないが、今のマーケットに対しても過度なリスク回避に囚われ過ぎず、「ネバーアップ、ネバーイン」(届かなければ入らない)の気持ちで、当面は臨みたいところだ。

  


2月13日号

  トランプ米大統領の「政策の矛盾」で思うこと

記事内容


 トランプ米大統領の「大統領令」や「ツイッター」が世界中のメディアで毎日のトップニュースに取り上げられている。これは、まさにトランプ大統領が昨年の選挙期間中に用いた、メディア活用術そのものとも言える。その中身は、政治的な“バッド・トランプ”(保護貿易や移民問題など)と経済的な“グッド・トランプ”(規制緩和、雇用拡大など)が混在している。まさに、この2つはコインの裏表であり、マーケットも交互に反応しているといえる。更に、トランプ大統領の政策は、未発表のインフラ投資と減税を実施すれば、物価上昇圧力⇒金利上昇圧力⇒ドル高圧力がかかることになる。ドル高は結果として、物価上昇圧力を和らげ、金利上昇を抑制する効果をもつ。一方で、トランプ大統領は、声高にドル高のけん制発言を繰り返している。このためトランプ大統領の政策の矛盾は、目指すものと、もたらすものの結果が同じではないということになる。しかし、トランプ大統領はそんなことは百も承知で、世界を相手に「ディール(取引)」を仕掛けているとも考えられる。もしそうならば、極端なドル安の可能性は低く、適正水準で落ち着くことになる。となれば、今後のマーケットは「トランプラリーの終焉」ではなく、「リフレラリーの始まり」が期待できることになるのだが・・・。商社株に注目。

  


2月6日号

  トランプ米新政権の「3つのシナリオ」 ~結末は誰もわからない?

記事内容


 トランプ米新政権が発足して2週間目を迎えた。1月30日までに署名した大統領令は、17件と矢継ぎ早に公約を実行しているのがわかる。一方で、世界はトランプ流の経済・外交政策に振り回されているのが現状だ。そこで今後のトランプ政権の行方について、3つのシナリオを考えてみた。(1)は「トランプ帝国」シナリオ。大統領の政策に共和党(議会)が追随。保護主義と積極的な財政政策が奏功し、米景気(GDP)は3.5~4.0%の目標に近づく。強引な外交のなか、ドル高が進行。(2)は、理想の「トランプ共和国シナリオ」。大統領と共和党(議会)が妥協して政策を遂行。米景気は2~3%の巡航速度の成長が息長く続く。多国間貿易協定から2国間交渉にシフトすることで、保護主義も緩和される。ドルは現状近くで推移。(3)は最悪の「トランプ独裁国家シナリオ」。大統領の独断先行政策の乱発で、共和党(議会)が大統領を見離す。米景気は政策の行き詰まりで先行き不透明感から失速へ向かう。対中国、EU(欧州連合)、日本とのディールで失敗。ドル安が進行。この3つのシナリオでは、(1)と(3)がサステナブル(持続可能)ではなく、短命か。となれば、やはり(2)のシナリオしかないのだが、トランプ劇場の結末はまだ誰もわからないというのが現状か。

  


1月30日号

  トランプ大統領の就任演説で思うこと

記事内容


 1月20日にトランプ米大統領の就任式が終わった。就任演説のトーンは、「America First(米国第一主義)」と「Make America Great Again(米国を再び偉大にしよう)」を基に外交、貿易、経済などを決定するという、まさに“トランプ革命”とでもいうような大きな転換を示唆するメッセージであった。今後のポジティブな潮流の変化(グッドトランプ)は、①トランプノミクス(減税、財政出動、規制緩和)による米国経済の加速、②低成長、低インフレ、低金利といった長期停滞からリフレーションの到来、③グレートローテーション(債券から株へのシフト)などが予想される。一方、ネガティブな潮流の変化(バッドトランプ)は、①反グローバル(保護貿易主義)、②ハイパーポピュリズム(反移民・右傾化)、③米中対立(覇権争い)のチャイナリスクなどがそうだ。2017年は、このグッドトランプとバッドトランプが交互に作用する展開になろう。オバマ前政権(09年)は、熱狂の中で誕生したが、トランプ新政権はデモやメディアの批判など真逆のスタートになった。先行きの不透明感と悲観論が大きい時は、むしろ逆の展開もありうる。具体的なトランプノミクスの評価は、予算教書発表(2月中)から始まる。2017年は、徹底した思考方法の転換が必要になったのかもしれない。

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかい ひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)