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バックナンバー 9月29日号 9月15日号  9月8日号  9月1日号 

9月29日号

  海外ウォッチング ~南欧の「観光立国」に学ぶ

記事内容


 9月中旬に、遅い夏休みを取った。訪れた都市は、バルセロナ、マルセイユ、モナコ、ナポリ(カプリ島)、アマルフィなど、南欧の港町だ。バルセロナで驚いたのは、18万トンクラスのクルーズ船が、9隻も横付けされていたこと。乗船客数が約4000人なので、なんと3.6万人が一度に上陸して観光とショッピングをすることになる。株式市場で最近“イナゴ・タワー(個人投資家が買いを集中させた個別株の急騰)”なる言葉が流行っているが、こちらはまさに“イナゴ・シップ襲来”といえる。かつて、財政難に陥ったモナコはカジノで危機を脱し、今や世界有数の観光地になっている。また、グローバル化に乗り遅れ一時はさびれた港町も、観光で再び活気を取り戻していた。日本の安倍首相は今、“ローカル・アベノミクス(地方創生)”を掲げている。なかでは、農業の再生やベンチャー企業育成などが地方活性化案に盛り込まれている。しかし最も現実的で即効性があるのは、南欧のような観光資源を活かした「観光立国」ではないかと思う。政府は、訪日外国人客を現在(2013年)の1036万人から2020年に2000万人へと倍増する計画だが、空港アクセスと埠頭の整備、そして街の受け入れ態勢を整備すれば、十分目標は達成可能だろう。日本の観光産業(2012年の市場規模は約22.5兆円)は未開拓な面が多く、その潜在成長力は大きいといえよう。

    


9月15日号

  “セブンシスターズ”の進捗状況と評価は?

記事内容


 昨年末に、「2014年の変化を“セブンシスターズ”(7つのファクターの意味)と呼ぶ。それは、(1)Buy my “Abenomics”、(2)日銀の更なる金融緩和、(3)実質マイナス金利、(4)政官一体体制の強化、(5)建設投資循環、(6)Japan Inc(日本株式会社)の復活、(7)市場需給の改善 ― の7つ。これが日経平均2万円のシナリオだ。」とした。あれから9ヵ月が経ち、その後の進捗状況を検証した。(1)は、3月に国家戦略特区の対象6区を選定、来年度から法人税減税の実施を6月の骨太の方針に明記。TPP(環太平洋経済連携協定)とカジノは年内の進展を期待。(2)は10月の金融政策決定会合での期待が再浮上。(3)は、円安の時期が遅れたが、実質マイナス金利は着実に進行。(4)は、5月に内閣人事局が発足し、7月に初の省庁人事を実施。(5)は、リニア新幹線の工事が9月に始まり、品川駅再開発、羽田空港直結新線計画も浮上。(6)は、来年6月までに東証が具体的な「コーポレートガバナンス・コード(企業統治の原則)」を策定、金融庁は2月に機関投資家の行動規範「日本版スチュアードシップ・コード」の導入を決定。(7)は、9月~10月にGPIF(公的年金)の運用見直しの発表、NISA(少額投資非課税制度)の非課税枠の拡大を検討中。こうしてみると、セブンシスターズの評価は、及第点をクリアした?

    


9月8日号

  安倍改造内閣の最大の政治的課題は、消費増税シフト !!

記事内容


 4-6月期の実質GDPは、前期比年率▲6.8%の落ち込みとなった。その内容は、消費増税後の個人消費と住宅投資の落ち込みが主な背景であった。しかし、7-9月期のGDPは、ESPフォーキャスト(エコノミスト42人)によると前期比年率で+4.08%と回復を見込む。これは、4-6月の落ち込みが大きかったことで、成長率はその反動が素直に現れる格好だ。しかし、その後の回復力は依然鈍い可能性が高い。ちなみに、7-9月期の実質GDP発表は11月17日。その頃に有識者会議で再消費増税の判断が議論される。このため年末にかけては、来年10月の消費増税実施(8→10%)の判断が最大の政治的課題となろう。しかし、月次の指標で回復の鈍さを示す指標が続けば、消費税再引上げの決定が消費の更なる落ち込みを招き、デフレ脱却が遠のく可能性が高まってくる。その場合、安倍政権としては景気対策(昨年の5.5兆円に匹敵する経済対策を掲げる?)や日銀への追加緩和要請(現行の量的緩和継続を表明?)といった政策面の対応が必要となる。もし実施が見送りともなれば、アベノミクスの挫折として外国人の日本株売りの標的になりかねない。このため、安倍改造内閣では、“消費増税シフト(消費増税実施の環境整備)”が本格的に始まるだろう。このことは、年末に向けた株式市場にとって悪くないシナリオといえる。

    


9月1日号

  日本のエレクトロニクス産業復活のシナリオは?

記事内容


 日本のエレクトロニクス産業の没落が言われて久しい。しかし、本当にそうだろうか?今逆に、復活にむけたシナリオが見えてきつつあるのではなかろうか。それは、業界の枠を越えた分野でのネットワークやシステムのIT(情報通信)化ではないだろうか。例えば、自動車では電装化による安全技術の高度化(自動車のIT化)、都市のネットワーク化(都市のIT化)、農業での生産効率化(農業のIT化)-などがそうだ。この中でも特に期待されるのは、世界最高の技術と生産規模を誇る自動車のIT化(スマートカー)だろう。ITの巨人である米国のアップルやグーグルと協力してこの分野を強化していけば、自動車のスマホ化(本体の車両と部品は日本メーカーが供給)が可能だろう。日本のエレクトロニクス業界は、カラーTV(~1960年代)、VTR(~1980年代)、インターネット・パソコン(~2000年代)と、常に新たな潮流(トレンド)をリードしてきた。ここ10年の雌伏の原因のひとつとなった円高も終息してきた。負け組となった半導体や携帯電話など、負の遺産の処理(構造改革)も終わったところが多い。しかし株式市場においては、東証1部における電機の時価総額の比率が、2000年3月の19.8%から直近(8/15)で11.8%まで低下したままの水準にある。となれば、日本のエレクトロニクス産業株の“ターンオーバー”(攻守逆転)の時は近い?

    


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)