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バックナンバー 7月27日号  7月20日号  7月6日号  6月29日号

7月27日号

  個人投資家の「新起動」 ~年後半のニューヒーロー誕生 ! (?)

記事内容


 ギリシャ危機と中国株の急落を乗り越えて、日経平均は再び2万円台を回復した。そこで次のステージに向かうに際し、7-9月のマーケットの投資環境をもう一度好悪材料で分けてみた。まずポジティブな要因は、外部要因で①米利上げの先送り観測(12月か来年?)、②中国株式の急落の一段落、③ギリシャのユーロ離脱リスクの回避。国内要因で①TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意、②日銀の追加緩和期待、③秋以降の企業収益の上方修正期待。株式需給面で①個人投資家の出動、②日銀のETF(上場投信)買い、③公的年金の買い― など。一方ネガティブな要因は、外部要因で①米利上げの前倒し懸念(9月?)、②中国株式急落による逆資産効果、③原油価格再下落による資源関連企業への影響。国内要因で、①安保法制による安倍政権の支持率の低下、②日銀の追加緩和先送り懸念、③足元の景気・企業収益の足踏み。株式需給面で①外国人投資家の売り越し、②日本郵政3社のの同時上場(10月?)を前にした資金吸収 ― など。なかで、最も注目されるのは、7月の株価急落場面で救世主となった個人投資家の本格参戦(7月は10日までで、5827億円の買い越し)だ。個人の金融資産流動化のマグマは、静かだが着実に動き始めているようだ。

   


7月20日号

  「激震」のリバウンド後の「余震」にも目配りを !!

記事内容


 中国株が暴落し、世界市場に激震が走った。取敢えず、中国当局の「なりふり構わぬ(?)株価対策」で下げ止まったというものの、問題は依然解消されていないのが実情だ。さらに次の問題としては、この衝撃波の2次的な影響に注意をしておきたい。というのは、中国株式の時価総額(ブルームバーグ)が一時的とはいえ、約470兆円も消失(日本の時価総額の約80%)したことの事実は、軽く見ない方がいいかもしれないからだ。すなわち、今回の“逆資産効果”が①中国の個人消費への影響や②対中国依存度の高い資源国(ブラジル、豪州など)だけでなく、欧州、米国、ASEAN、極東アジアなど、世界中の景気に幅広く影響が及ぶ可能性があるだろう。例えばハイテク分野では、ここ中国で爆発的に売れていた「スマートフォン」への影響などが挙げられる。このスマホの販売不振が明確になれば、米アップル向けに伸びていた日本の電子部品・半導体も要注意になろう。このため、7/21のアップルの決算発表時の会社側の中国市場に対するコメントには、注意しておきたい。当面は、「激震」のリバウンド後に来る「余震」にも目配りして備えたい。しかし逆にいうと、こうした調整局面こそが年末に向けた最後の「押し目買い局面」になるだろう、ということはいうまでもない。

   


7月6日号

  本コーナーの100回目に寄せての決意(?)

記事内容


 「フォーカス・ワン」は、今回で丁度100回目となる。思い起こせば、スタートしたのは2012年11月19日号から。当時は安倍首相が登場する前で、民主党政権下のマーケットが八方塞がりの状態であった。「ウィークリー」の見直しのアンケートを実施したところ、ある若手社員から「コラムがあると面白いですね」という言葉をキッカケに、「何か自分に出来ることはないか」との想いが、本コーナーの始まりだったように思う。ラッキーなことに、その年の年末に安倍政権が誕生し、現在の「アベノミクス」がスタートした。あれから2年半、日経平均は当時の9000円前後が今や2万円の大台を回復、その後のマーケットは様変わりに大きく変貌した。こうした時期に節目の100回目を迎えるという意味では、感慨深いものがあり、まさに隔世の感がある。今後についていえば、東海東京調査センターは、①常にマーケットと真摯に向き合うこと、②その情報を迅速かつ適切にわかりやすく伝えること、③心は常にユーザーと共にあること ― を基本スタンスとして、続けたいと思う。これまで支えて頂いている「ウィークリー」の愛読者の皆様に対し、改めて感謝をしたい。No.1の初回の結びは「卵の殻は自ら割ってこそ、進化することが出来る」であったが、今回もその言葉で終わりたい。

   


6月29日号

  始まった(?)、企業と個人投資家の「新起動」

記事内容


 トヨタ自動車の株主総会(6/16)で、新型株「AA型種類株式」が承認(7月24日発行予定)された。同株は、普通株のように¬上場せず最初の5年間は売買できない。その後株主は最初に購入した価格でトヨタに取得請求でき、普通株への転換請求もできる。配当は、発行価格に対して初年度の0.5%から5年目以降の2.5%まで徐々に上がっていく。いうなれば、元本が保証され、債券のような性質を持つ新型株ということになる。このAA型種類株については、助言会社の米ISSが、経営のチェックという観点から反対を表明していた。筆者が注目したのは、仕組みの問題というよりは、企業のこの新型株式に対する“想い”だ。豊田社長は「日本の個人金融資産はほとんど株でなく預金だ。民間企業のトヨタが資本市場の幅を半歩広げる。これは、意志のある決断だ。トヨタは創業時に自動車をつくろうとした時、“一緒にやりましょうよ”という仲間がいた。これからは株主の皆様とトヨタが一緒にやりましょうよ」と、話されたという。東証が発表(6/18)した2014年度の投資部門別株式保有比率をみると、個人投資家・その他は17.3%(過去最低)と、3年連続で落ち込んだ。トヨタの新しい取り組みは、こうした危機感を背景にした企業と個人投資家の関係の「新起動」の予兆のような気がする。

   


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)