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バックナンバー 2月8日号  1月25日号  1月11日号  12月21日号

2月8日号

  「新たな戦いが始まった !!」 ~目白押しの注目スケジュールを読み解く?

記事内容


 2月~3月は、1月の世界同時株安の原因となった、①チャイナ・リスク、②原油安、③中央銀行の市場との対話の齟齬(そご) ― に関する重要なイベントが目白押しだ。その注目ポイントは以下の通り。まず中国では、2月26・27日のG20財務相・中央銀行総裁会議(上海)後か、3月5~15日の全国人民代表大会前に景気対策が浮上するか。原油では、ナイジェリアなどが臨時のOPEC(石油輸出国機構)総会開催(2月中?)を要請しており、サウジアラビアやロシアなどとの協調減産が成るか。中央銀行では、FRB(米連邦準備理事会)が2月10・11日のイエレン議長による議会証言、2月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録(1月)公開、を経た3月15・16日のFOMCで追加利上げを見送るか。ECB(欧州中央銀行)は、ドラギ総裁が示唆(1/21)した3月10日の理事会での追加緩和の内容が注目される。初のマイナス金利を導入(1/29)した日銀は、3月14・15日の金融政策決定会合で更なる緩和の姿勢を見せるか、などだ。こうしたスケジュールをみると、世界の投資家(ヘッジファンドなど)は更なる売り仕掛けをしにくい環境になったといえる。それでも売りが止まらなかった場合は、大きなマネーの変動として、注意が必要になろう。このため、ここは“新たな国際協調”に期待したい。

   


1月25日号

  始め悪ければ終わり良し?

記事内容


 2016年の世界金融市場の幕開けは、大波乱で始まった。年明けのサウジアラビアとイランの国交断絶(1/3)、北朝鮮の水爆実験報道(1/6)などの地政学リスクが相次いだ。経済面では、米国の利上げ(12/16)後、年明けから原油安(30ドル/バレル割れ)と人民元安が加速した。これらはまるでこの1年に起こり得るリスクが、前倒しで一気に顕在化したかのようである。このため世界の株式市場は、昨年8月と同規模のショック安をもたらしている。しかし今回も、リーマンショック(2008年)のような構造的なシステミックなリスク(金融危機)が発生した訳ではない。当面のリスクでも、①中国経済が失速する可能性は低い、②原油価格の下落は一部の国と企業に打撃が集中するが、中長期的に多くの国はその恩恵を受ける。さらに今回の世界的な同時株安を受け、早晩中央銀行の政策に変化が出てくる可能性が高まった。米FRB(連邦準備制度理事会)は年4回の利上げが2回のシナリオに変更を示唆し、予想以上の円高進行で危機感を強めている日銀は追加緩和の検討に踏み込んでくる可能性がある。これが、国際協調のような形になれば、より効果的なものとなろう。マーケットのセンチメントが最悪の時にこそ、次の転換点に備えたい。「始め悪ければ終わり良し?」

   


1月11日号

  2016年は、「中央銀行に頼らないマーケット」を想定

記事内容


 2016年の日本株は、波乱の幕開け(1/4の日経平均は昨年末比▲582円)となった。そういえば、一昨年末から昨年初めも、1万7914円(14/12/29の高値)から、1万6592円(15/1/16の安値)まで、▲1322円の下落であった。これは、①原油安と②ギリシャ問題の懸念、③米景気の下ブレ懸念等 ― が背景であった。その後は、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和策導入、ギリシャ支援の延長合意 ― 等を背景に、1万9778円(3/23の高値)まで上昇した。今年の下げの背景は、昨年夏以降続いている中国景気の回復の遅れと中東情勢不安であり、特に深刻な悪材料が出現した訳ではない。となれば、年央までの相場イメージは昨年とそう変わらないように思う。ただ昨年までと大きく違うことは、「中央銀行に頼らないマーケットを想定する必要がある」ということだろう。特に2016年の日本株は、牽引役がこれまでの「政府と日銀」から「企業と個人」へのバトンタッチがうまくいくかどうかが、大きなカギになる。このため、春闘での企業の賃金げやイノベーション(次世代技術投資)への取り組みそして個人の消費や投資家としての動き等が、よりクローズアップされることになろう。となれば今年の1月は、腰を据えた「押し目買い」で臨みたい。

   


12月21日号

  2016年のMy初夢は、「コウノトリ」と「ESG」投資(?)

記事内容


 2016年のテーマは、(1)ナショナル・レボリューションとしての、日本の国家的課題への取り組みである①一億総活躍社会の実現(少子高齢化対応、女性活用)、②TPP(環太平洋経済連携協定)の活用、③観光立国(インバウンド)の実現、④農業改革の推進、⑤電力の自由化 ―等がそうだ。もう一つは(2)グローバル・イノベーションとしての、次世代技術の開発である①第4次産業革命とも呼ばれるIoT(インターネット・オブ・シングス)、②自動車が自動車で無くなる(?)自動運転、③介護など非製造業に広がるロボット、④ロケットや次世代航空機、⑤リニアや高速鉄道、⑥iPS細胞を活用した先端医療 ― 等だ。特に、(2)の分野は、生産性の上昇と潜在成長率の向上など、名目GDP600兆円の達成に役立つものが多く、世界に向けた市場を広げる可能性も高い。そして、政府は日本企業のイノベーションを支援するため、「第5期科学技術基本計画」でGDP比の1%、5年間に約26兆円の研究費を投じる目標を明記(12/10)した。株式市場においても、2016年はこうした企業を応援する「コウノトリ」(10年後の日本の未来に繋がる、中長期)投資がトレンディになることに期待したい。さらに、日本でも環境、社会、企業統治のESG(Environment Social Governance)投資が広まってほしいものだ。

   


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)