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バックナンバー 12月8日号  12月1日号  11月24日号  11月10日号 

12月8日号

  2015年は、「L(ローカル)」の時代の幕開けに!

記事内容


 石破地方創生担当相の話を聞いてきた(11/26)。その発言の主なポイントは以下の通り。「日本全体の経済からみれば、グローバル(Gの)経済は全体の2割、それ以外の約8割はローカル(Lの)経済だ。だから、ローカル・アベノミクスが必要なのだ。これまで、本気でローカル経済について考えてこなかった。団塊の世代がいなくなると、日本の地方はガタンと人口が減り、消滅してしまうのではないか。だから、若者を呼び込みかつ地方にとどめ、女性が子供を産んでくれるためには、安定した収入が得られる地方経済にしなくてはいけない。地方創生には、地方への移住者を受け入れる側にとっても〝よそ者、若者、ばか(独自の発想をもつ)者〟をいかに取り込めるかの体制も大事だ。すなわち、日本創生とは、日本の仕組みそのものを創り替え、この国のかたちを変えることだ。そして、これまでのような維持や分配の発想をやめることだ。国は、規制を緩和して農業、林業、漁業、観光の潜在力を最大限に発揮できるよう手助け(データや人材を提供)し、自立できるようにする、これが地方創生の本質の部分だ。」自民党の衆院選挙の公約には、「地方創生特区の創設」が盛り込まれた。2015年は、ローカル・アベノミクス元年として、新たなスタートラインに立つことに期待したい。

   


12月1日号

  少~し早い(?)、来年の「干支(えと)と株式市場」

記事内容


 来る2015年の干支は「未(ひつじ)」。過去の未(ひつじ)年はどんなことがあったか、まず歴史的出来事を紐解いてみた。すると、名前からくるイメージとは異なり、満州事変(1931年)、第3次中東戦争(1967年)、イラン革命(第2次石油危機)とアフガン戦争(1979年)、湾岸戦争(1991年)、イラク戦争(2003年)と、戦争と石油に絡む出来事が多くみられるのが特徴であった。ということは、2015年は「地政学的リスク」(資源問題やテロ勃発リスク?)を警戒しておく必要があるということか。また過去(東証開所以来)にみる「未(ひつじ)年」の日経平均の年間騰落率をみると、平均で+7.7%(時価で換算すると1万8694円)とそう高くはない。しかし、翌年の申(さる)年が平均上昇率+10.4%、翌々年の酉(とり)年が同+15.0%と、過去の上昇率は年々アップしている。干支からみても、2020年(子・ねずみ年)の東京オリンピック開催に向けた長期の株価上昇トレンド入りが期待できるということか。未来は「未(ひつじ)が来る」と書く。まさに、未(ひつじ)年の2015年はアベノミクスの成功まで、もう少し「辛抱」すれば、多くの人が報われる年になるかもしれない。それを信じて新年を迎えたい。ちなみに、兜町の相場格言は、「未(ひつじ)辛抱、申(さる)酉(とり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ねずみ)は繁栄・・・・・・」となる。

   


11月24日号

  にわかに決まった解散・総選挙と株式市場

記事内容


 安倍首相は、「消費増税の先送り(17年4月に)と解散・総選挙(12月14日投票)」を正式に表明した。この決定は、①財政再建計画の後退、②成長戦略の遅れ、③円安加速の懸念 ―等から、アベノミクスに対する疑念や日銀と政府の政策協調に対する不安感をもたらす可能性がある。しかし、「消費増税先送り」の決定を米国が後押しし、日銀が政府の動きを察知して追加緩和を発表(10/31)したとしたら、今後の風景やシナリオが違って見えるかもしれない。米国のノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は安倍首相と会談(11/6)した際、「消費増税を先送りする」よう進言したとされる。さらにルー米財務長官は、麻生財務相との会談(11/15)で「消費税の再増税には、短期的な悪影響を相殺する十分な対応が必要だ」と指摘し、再増税の先送りを求めたとも受け取れる発言をしている。日銀の追加緩和も、消費増税の先送り発表の後では今回のような大規模緩和はできなかっただろう。逆に、市場の信認に疑惑が生じた際の「株安・債券安対策(=買い取り枠の拡大)」が出来ていることになる。さらに、選挙で自民党が勝利すれば、①消費増税先送りの信認を得たことで、安倍首相の求心力が高まり、②成長戦略を通じた経済優先の軸を鮮明化する、アベノミクス第Ⅱ章に繋がるシナリオが再浮上しよう。

   


11月10日号

  役者が揃った(?)「消費増税実施の判断」

記事内容


 10月31日に、景気討論会(日経、日本経済研究センター主催)を聞きにいった。そこでの焦点はやはり消費増税実施についての考え方であった。特に注目されたのは、消費税点検会合(11月4日~18日に5回)の有識者のメンバーでもある、三菱総合研究所の武田洋子女史(チーフエコノミスト)の発言であった。「消費増税は、①増税が景気に影響を及ぼすコストと、②増税先送りのコスト(財政への影響)を比較した場合、後者の方が大きい。増税を先送りすればする程、財政への取り組みが遅れる。危機が起きてしまった時、リスクが大きく振れてしまうことは、これまでの金融危機から学んだ。日本の金融政策は、財政健全化を進めることを前提としている。長い目でみた場合、財政や社会保障を考えると、自ずと答えは出てくるはずだ」。筆者は、ここに、12月上旬の安倍首相の判断の答えは出ていると考える。10月31日に、①日銀がサプライズ緩和(量的・質的金融緩和第2弾)を発表、②GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が新しい運用比率を発表、③安倍首相が、経済対策(11月半ば)の本格検討を指示した ― 等、環境整備の外堀は完全に埋まり、役者が揃ったといえる。「小泉改革相場の第Ⅱ章」(05年夏スタート)は、外国人から国内投資家に主役が変わった。「アベノミクス相場の第Ⅱ章」も、同様のことが起きそうな気がする。

   


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)