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バックナンバー 3月9日号  3月2日号  2月16日号  2月9日号

3月9日号

  日本株は「サイレント・レボリューション(静かなる革命)」が進行中

記事内容


 「日経平均は15年ぶり、今世紀の最高値を更新!」と、威勢の良い言葉がメディアの見出しに並ぶ。しかし特徴的なことは、興奮と熱狂が全くと言っていいほど感じられないということ。それは、個人投資家が今回の戻り局面で2月(~20日)に差し引き▲1兆2063億円もの大量の売り越しになったことが、主な背景だろう。このためこの上昇相場は、“サイレント・カタリスト(株高を示唆するものがない)”とも言われている。しかし、最近の動きをみると、①企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)に対する考えや行動が前向きなもの(余剰資金の効率化など)に変わり、②円安と原油安の効果が企業収益の向上とバリュエーションの低下期待をもたらしている。さらに、③巨額の運用資金を持つGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式比率アップで、委託先の信託銀行が逆張りから順張りに転じてきたこと(1~2月は差し引き+7479億円の買い越し)、自社株買いで事業法人の買いが継続していること(同+2482億円)、ここ現物を売り越した外国人が先物の急速な買い戻しに転じたこと ― 等、株式需給も根底から変化しているのが窺える。「日本を買わない手はない。」とは、安倍首相の海外投資家を前にした言葉(2/24)。日本株は「サイレント・レボリューション」(静かなる革命)が進行中とみる。

   


3月2日号

  求められる、「草食系男子」から「肉食系男子」への変身

記事内容


 ここ、日本を代表する企業の変身ぶりを象徴するようなニュースが相次いでいる。その報道の主なものは、①トヨタ自動車(7203)は3月29日に4000人規模の個人投資家向けの説明会を初めて開催、豊田社長自身が講演する(2/10)、②三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は6月に社外取締役の役割を重視する委員会設置会社に移行する(2/11)、③キヤノン(7751)は成長分野の監視カメラで世界首位の会社を3300億円で買収する(2/11)、④物言う投資家の投資ファンドからの提案(自社株買い)のあったファナック(6954)は、1300億円の設備投資を国内に投入する(2/16)、⑤ソニー(6758)は全ての事業を分社化し、ROE(自己資本利益率)を最重要経営指標に位置づける(2/19) ― などがそうだ。これらに共通しているのは、株主重視の姿勢、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化、豊富な手元(余剰)資本の有効活用(成長投資) ― だろう。こうした各業界トップの企業経営の変身は、早晩日本企業全体の追随へとトリクルダウン(浸透)してゆくだろう。株式市場でも、昨年の小型株中心から上記のような主力株への物色のシフトが窺える。ということは投資家サイドとしても、「草食系男子(短期売買)から、肉食系(中・長期投資)」への変身が求められるということだろう。

   


2月16日号

  日本版グレート・ローテーション(債券から株式へ)の始まり?

記事内容


 2月初旬の相場は、債券市場の利回りが急反発し、株式市場での波乱材料とされている。しかし、そのことがネガティブな要因だろうか。過去に債券利回りが急上昇した、1998年9月(ボトム0.665%)と2003年6月(同0.435%)のケースをみると、債券利回りの底入れ⇒反発は株式市場にとっても、大きなトレンド転換確認の明確なシグナルとなっているのがわかる。今回は2013年4月からの日銀の量的緩和(QE)実施で、債券市場の底入れが2015年1月(同0.20%)に遅れたものの、株式市場は既に2012年11月から上昇トレンド入りしている。この間、「債券市場が正しいのか、株式市場が正しいのか」の論争もあったが、これでようやく決着が着いたように思う。すなわち、日本経済はデフレへの再突入ではなく、デフレからの脱却に向けて明確な歩みを始めたことを再確認したということだろう。このことは、景気の転換点に起きる“債券から株式へのシフト(=日本版グレート・ローテーション)”が本格的に始まることに他ならない。もちろん日銀の追加緩和(国債の購入)があるので、債券利回りがここから一本調子で上昇することはないだろう。しかし、債券バブルは徐々に終焉へ向かい、設備投資や株式などリスク資産にマネーが回帰を始めることは間違いなさそうだ。ここは迷わず「株式」の押し目買い継続でゆきたい。

   


2月9日号

  2015年前半のマーケットのキーワードは、「2極化」?

記事内容


 「21世紀の資本」の著者である、トマ・ピケティ教授が来日し、メディアで一大ブームとなっている。その理論が「 r>g (資本収益率 r は経済成長率 g を上回る)」であることは、広く知られている。一言でいうと「資本主義での格差は拡大する」というものだが、本稿はその内容(是非)を議論する場ではないので省略する。ピケティ氏の前置きを述べたのは、2015年の市場で氏の説とは時間軸と内容が違う“格差(=2極化)”が起きていることを、指摘したかったからだ。すなわち、①原油価格の急落がもたらした資源国と消費国の格差、②金融政策で出口に向かう国と緩和を続ける国(通貨高と通貨安)の格差、③リスクテイクをして挑戦する国とそうでない国(政策や人を含む)の格差 ― 等がそうだ。このなかで、石油消費の国、金融緩和継続(=通貨安)の国、強い指導者を要する国(黒田日銀総裁と安倍首相・ドラギECB総裁とメルケル独首相・印のラジャン総裁とモディ首相)という3つの好条件が揃うのは、日独印の3国だ。ちなみに1月30日現在の株価は、日銀の追加緩和後(14年10月末)を100とすると、独DAXが114.6、日経平均が107.6、印SENSEXが104.7と、米NYダウの98.7、ブラジル・ボベスパの85.8を凌駕し始めている。2015年前半の投資戦略は、「2極化」の流れの中での選別が重要になろう。

   


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)