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バックナンバー 4月7日号 3月24日号 3月17日号 3月10日号 

4月7日号

  アベノミクスの成長戦略は、本当に期待外れか?

記事内容


 「アベノミクスの成長戦略は期待外れだ」との声がある。果たして本当にそうだろうか。もともと、金融政策、財政政策に比べ、第三の矢である成長戦略は、その効果が出るには時間がかかるもの。安倍政権は、昨年6月に「日本再興戦略」を策定し、今年6月には岩盤規制の「雇用」、「農業」、「医療」を柱とした、成長戦略第2弾をまとめる予定だ。菅官房長官の「これまでの成長戦略は、策定がゴールだった。アベノミクスは策定がスタートだ。」という言葉からも、改革の意思が弱まったとは思えない。既に、目玉の一つの「経済特区」は、対象6地域が3月28日に発表された。もうひとつの目玉である「法人税率引き下げ」も、6月にまとまる「骨太の方針」に明記される可能性がある。さらに、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の見直し」は、厚生労働省の財政検証の最終案(6月頃)を基に、ポートフォリオを修正することになろう。注目の「雇用」の面では、2015年度から外国人向けの技能実習制度の拡充(=外国人労働者の受け入れ拡大)の方針が固まった。この他、春の賃上げ交渉も順調に進んでいる。もちろん、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉のように、やや遅れているものもある。だからといって、成長戦略が後退したとはいえない。ネバー、ネバー、ギブアップ !!

    


3月24日号

  FRB、ECBの「市場との対話」に学ぶ

記事内容


 世界の中央銀行の総裁の発言は、市場に大きな影響を与える。米FRB(米連邦準備理事会)のイエレン新議長は、議会の公聴会(2月11日)で「米労働市場の回復は、完全と呼べる状態から程遠い」と発言し、緩和縮小への不安を和らげた。ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、「追加緩和の手段を用意している」と発言(3月13日)し、“フォワード・ガイダンス(将来の金融政策の運営方針)”の効果をうまく使っている。これに対し、黒田日銀総裁は「増税後も景気は緩やかに回復する」(1月22日)、さらに、「(追加緩和について)現時点では、必要があるとは思わない」と発言(3月11日)し、市場の追加緩和期待を後退させてしまった。年初からは新興国の通貨下落、ウクライナ問題の勃発、中国のデフォルト(債務不履行)リスク ― と、様々な外部要因からの悪材料が相次いだ。しかし、年初からの株価下落率(3月14日)を見ると、米国のNYダウが▲3.0%、中国の上海総合が▲5.2%なのに対し、日経平均は▲12.0%と突出している。これを見る限り、何処に下げの主因があったかわかるというもの。その黒田日銀総裁は、参院財政金融委員会(3月17日)で「見通しに変化が生じ、必要となれば適切な調整をする」と、ハト派的なレトリックを使い始めた。日本株市場は、これで一安心 !(?)

    


3月17日号

  米2大ITの巨人の参入で注目される「カーエレクトロニクス」

記事内容


 「アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日」(桃田健史著)という本を読んだ。それは、こうしたことを予感させるようなニュースが相次いでおり、いつかこうしたことをこの「フォーカス・ワン」で書いてみたいと思っていたからだ。

そのニュースとは次のようなものだ。インターネット検索最大手の米グーグルは、自動車内の情報機器を制御するシステム開発で、ホンダや米ゼネラル・モーターズ(GM)、独アウディ、韓国の現代自動車、米半導体のエヌビディアと提携したと発表(1月6日)した。そこでは、グーグルの基本ソフト(OS)を使って、車を「走る情報端末(クルマのスマホ化)」に進化させるというものだ。

一方米アップルは、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、三菱自動車、スズキといった国産自動車メーカーに加え独BMW、米フォード・モーター、米GMなど、16社との提携を発表(3月2日)した。アップルは自動車内で携帯電話「iPhone(アイフォーン)」との高度な連携で「CarPlay(カープレー)」を実現しようというものだ。

自動車の次世代技術開発競争の究極のテーマに、「自動運転技術」があるといわれている。こうした米2大IT(情報技術)の巨人の自動車産業への参入は、近い将来に起きる自動車業界の地殻変動の前触れかもしれない。カーエレクトロニクスのデンソー(6902)、パナソニック(6752)、日立(6501)。

    


3月10日号

  Just Do It(ジャスト・ドゥ・イット)!~もうひとつの日本株不振の背景?

記事内容


 「日本では、第2次世界大戦中の特攻隊員を賛美する映画が興行収入のトップを記録している。東京の書店では、日本の近隣諸国を非難する書籍のコーナーが設けられている。そして、“ネトウヨ(ネットの右翼の略称)”と呼ばれる過激なナショナリスト的な思想を持つ匿名の投稿が急増している。」と、国会前を日本の国旗を持った人達の行進や都知事選の田母神候補、安倍首相の靖国参拝の写真掲載付きでの記事に違和感を覚えた。

その出所はどこかといえば、あの米金融専門紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の一面(2/26)だから、また驚いた。これは、英経済専門紙FT(ファイナンシャル・タイムズ)が「安倍首相の国家主義的政策を前面に押し出し始めている」と、社説(2/10)でコメントしていたので、気になっていた矢先のことでもある。

最近の日本株不振の理由が、①米国景気の先行き不透明感、②中国の景気とウクライナの混乱、③外国人の売りによる需給悪化 ―― 等がよく言われる。しかし、これだけで説明できない部分があるのもまた事実でもある。最近の株安が、安倍カラー(政治的信条)が影響していることは、客観的情勢からも同意せざるを得ない面もある。これまでアベノミクスは、世界の投資家から評価された。今はその実行と成果こそが、日本経済再生の原動力であることを、再確認する時期でもある。

    


    
チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日経CNBCに出演。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)