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バックナンバー 4月25日号  4月18日号  4月11日号  4月4日号

4月25日号

  熊本地震発生と株式市場で思うこと ~「災い転じて」・・・

記事内容


 熊本地方を中心とした大規模な地震が発生(4/14~16)し、道路やビル・家屋などを中心に九州の幅広いインフラが大きな被害を受けた。こうした状況の下、被災地の支援が今後の大きな政治的課題になろう。政府は、まず7月の参院選後の臨時国会に提出予定の補正予算案に対策費を盛り込む予定で、当初予定よりかなり大規模なもの(5~10兆円超?)になる可能性があろう。さらに、来年予定の消費増税先送りがメインシナリオになるかもしれない。そして日銀は、4月27・28日の日銀金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性がより高まったといえよう。被災した九州に工場のある、ルネサス、三菱電、ソニー、トヨタなど主要企業は、東日本大震災(2011年3月)の時のようなサプライチェーン(部品供給網)への影響が懸念されている。これらの企業にとっては、収益のガイダンス(決算発表)の前での円高と震災のダブルパンチになった格好だ。一方、株式市場では災害に強い国づくりの「国土強靭化」が新たなテーマとして浮上し、震災・復興支援関連株が新たな物色対象に加わることになろう。最後に、今回の熊本地震は、当初メインシナリオとして考えていた、夏の「W(衆・参同日)選挙」の可能性をかなり低下させたのではなかろうか。※ 地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

  


4月18日号

  先行指標(?)のトヨタ(7203)の株価から、日経平均の転換時期を探る

記事内容


 年初からの日本株急落の主たる要因は、為替相場の円高トレンドへのシフトが大きく影響したといっても過言ではない。すなわち、昨年末に120円/ドルだった円相場が現在(4/11)107円台/ドルと、わずか4ヵ月で13円(約11%)も振れたのだから、株価への円高の衝撃は極めて大きかったといえる。ということはこれまでの両者の相関度の高さからみると、円相場の上値目処の水準が日経平均の下値目処の水準になる、ともいえる。ちなみに、円相場の105円/ドルを前提にした日経平均の相関マトリックスからみると1万5000円前後となるという。これは、2月安値1万4865円をやや上回った水準でもある。ちなみに、日本を代表する企業であるトヨタ(7203)の株価は、現在(4/11)5278円と2月の安値である5703円を既に下回っている。ということは、トヨタの株価は105円を前提とした減益シナリオを、先行指標として織り込んできたともいえる。このため、トヨタの企業ガイダンスが示され、ネガティブ要因が確定する日(今期の前提為替レートが明らかになる)は決算発表予定の5月11日ということになる。今年の5月連休は例年になく長いので、市場の不透明要因の出尽くしも、早ければ4月末~5月上旬頃が目安となろう。ちなみに、追加緩和が期待される日銀金融政策決定会合は、4月27・28日だ。

  


4月11日号

  4~5月は、政策期待VS企業のガイダンスの季節

記事内容


 安倍首相は、オバマ米大統領との会談(3/31)で、「5月26・27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、①日本が金融政策だけでなく財政出動による内需拡大にも積極的に取り組みを示し、②G7(主要7ヵ国)が世界経済を牽引していかなくてはならない」との考えを示したと言われる。安倍首相はこのサミットで、追加の経済対策(補正予算は5兆円規模?)と消費増税の先送りを表明するとも言われている。伊勢志摩サミットは、日本が議長国として、国際協調のなかで成長促進のメッセージをまとめることができれば、2016年前半で最大のポジティブ材料になろう。一方、4月の下旬から5月中旬にかけては、企業のガイダンス(決算発表)の時期とも重なる。3月調査の日銀短観(4/1)での大企業(全産業)の16年度(17年3月期)見通しは、売上計画が前年度比▲0.4%、経常利益も同▲2.0%予想と、収益環境の悪化を示唆した。しかも、その為替前提が117.46円/ドルと、実勢レート111.43円(4/4)から大きくかけ離れていることも、企業収益の下方修正リスクが拭えない大きな要因になってきた。かなり織り込んだとみられる企業の減益リスクだが、ガイダンスで各社の見通しが確認されてからとなると、4月下旬がマーケットの転換点になるのかもしれない。「朝の来ない夜はない」を信じて・・・。

  


4月4日号

  4月の日銀金融政策決定会合では、「新型ETF」の扱いに注目

記事内容


 日銀は、4月27・28日の日銀金融政策決定会合で追加緩和を実施する可能性がある。その内容は、①マイナス金利幅の拡大、②ETF(上場投信)、REIT(不動産投資信託)の買入増額、③購入対象資産の拡大 ― 等が予想されている。この中で、市場にインパクトが大きいと見られるのは、②のETFの増額だろう。既に日銀は12月18日の会合時の補完で「現在年間3兆円の買い入れ枠に加え、新たに3000億円の枠を設け、4月以降に購入する」と公言している。新たな枠は「設備投資・人材投資に積極的に取り組む企業で構成するETF」で、3月15日の会合時にはその基準も公表された。直近では、「研究開発費を増やし、保育支援を充実させている企業を組み入れるETF」との報道もある。現在運用各社がこの新型ETFの組成を準備しており、上場は早ければ4~5月になるという。投資に前向きな企業や女性の活躍(保育)を支援する企業が対象の新型ETFの登場ともなれば、従来のTOPIX、日経225、JPX400など指数に連動するETFとは違ったタイプになる。ちなみに、経済産業省と東京証券取引所が3月16日に発表した平成27年度版「なでしこ銘柄」(女性活躍推進に優れた上場企業45社)は、この新型ETF組み入れ候補のひとつとして、参考になるかもしれない。

  


チーフグローバルストラテジスト
中井裕幸(なかいひろゆき)

同志社大学法学部卒。日興證券入社、同投資情報部長を経て東海東京証券入社。2000年東海東京調査センター[出向]投資調査部長兼チーフストラテジスト、2003年取締役就任。2009年専務取締役就任、現職。入社以来一貫して調査・情報部門に携わる。日本経済新聞を始めとする各紙、電子メディアにも寄稿多数。
著書は、「サブプライム 逆流する世界マネー」(実業之日本社)